うみべのほいくえん

文 長崎源之助
絵 福田岩緒
発行 童心社
初版 1991/6/28
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 40
発行部数 不明
オススメ度 A

 

概要
すぐ目の前に海がある保育園。

都会から越してきたばかりでまだ慣れないまゆみちゃんと、ちょっと元気ありすぎなまさるくんを中心に、園児たちのひと夏の日々を描いています。

 

感想
目の前に海があって、お天気がよければ毎日海で遊びます。磯遊び、砂遊び、砂浜のお絵かき、泳いだり、浜辺での給食、花火、キャプファイヤー。子どもは天国のように感じるかも知れませんね。

そんな毎日の中で、まさるくんがまゆみちゃんを傷つけてしまったり、まゆみちゃんは最初海を怖がっていたのがやがてみんなと一緒に元気に遊べるようになったり、そして別れがあったり…。とりたてて大事件が起こるわけでもないし、ベタなエピソードも多いのですが、子ども達が日々泣いたり笑ったりしながら少しづつ成長していくのが、爽やかに描かれていて、とても好感がもてます。

この作品は、子どもよりもむしろ私の方が好きになりました。作者の子ども達を見守るような視線が温かく感じられます。長崎源之助さんの作品を何作か拝見しましたが、いずれも同じ好印象を受けましたよ。よかったら『こうまがうまれたよ』もどうぞご覧ください。

子どもは子どもで、毎日一生懸命生きているんですよね。そんな当たり前の事に気付かされます。
すくすくと元気に育ってほしいと願わずにはいられません。

絵もいいです。朴訥な感じのタッチですが、子ども達の表情がイキイキしています。

ビロードのうさぎ

原作 マージェリィ・ビアンコ
抄訳 酒井駒子
絵 酒井駒子
発行 ブロンズ新社
初版 2007/4/
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 36
発行部数 不明
オススメ度 A

 

概要
クリスマスに坊やにプレゼントされたビロードのうさぎ。でも坊やは他の玩具と遊んでばかりで相手にしてくれません。

うさぎは「自分は他の玩具のように、ネジもないし、動けないし、本当っぽくない」と落ち込んでしまいます。

それを見かねた木馬がこう話します。「ほんとうのもの」というのは、ただ遊ぶ対象であるだけでなく、大切な友達なのだと。

ビロードのうさぎは、坊やにとっての「ほんとうのもの」になりたいと願いますが…

 

感想
本の帯には「酒井駒子の最高傑作」と書かれていましたが、果たして名作でした。お話も絵も、そして両者のマッチングも最高です。

ストーリーは、寂しく切ないファンタジー。やや暗いお話です。うさぎは苦悩から幸福の絶頂、次には悲劇へと突き落とされ、最後に奇跡が起きます。交響曲か何かのようなドラマチックな構成です。

原作は海外で古典的な名作という位置付けだそうですが、まさに古典文学のような普遍性を持ったお話だと感じました。本作は絵本のための抄訳という事ですから、原作も是非読んでみたいです。

ラスト。うさぎが望んだ形の奇跡ではなかったでしょう。でも、いずれにしてもいつか訪れるであろう坊やとの別れを考えれば、これが最良の形なのかも知れません。神のみぞ知るというところです。なんとも言えない複雑な後味のあるラストです。

多分、人によって受け取り方がだいぶ違うのじゃないかなと思います。私は、諦観のようなものをうさぎの眼差しに感じて、切ない気持ちになりました。子どもから大人へと成長していく過程で、何かを得、何かを失っていく、そんなお話にも受け取れます。

美しく品のある絵も素敵です。林明子さんの絵もそうですが、酒井駒子さんもほんのちょっとした仕草や何気ない格好が子どもの感情を伝えてくれるんですね。それがとても愛らしいです。

子どもって、ぬいぐるみを一つの人格として扱ったりしますよね。そういう経験のある子は、とても感情移入しやすいと思います。

また、奥行きのある作品なので、子どもが成長するにつれて面白さも違ってくるかも知れません。大人にもおすすめです。

酒井駒子さんの他の作品もご紹介していますよ。下のタグからどうぞ。

コんガらガっちどっちにすすむ?の本

文 ユーフラテス
絵 同上
発行 小学館
初版 2009/3/
対象年齢 3歳から
文字の量 かなり~やや少なめ
ページ数 35
発行部数 不明
オススメ度 B

 

概要
表紙を見ると、キャラの前方に分かれ道がありますね。どのページにも、こんな分かれ道がいくつか描かれており、読者は好きな道を選んで指でたどっていきます。

それぞれの道ごとにほんの小さなエピソードが用意されており、その先にまた分かれ道がある、という構成になっています。

お話は3つ。
友達の家に遊びに行く道中のお話。
昼食のトッピングを選んでいくお話。
お散歩していて道に迷うお話。

 

感想
読者が参加してお話を組み立てる本です。子どもが面白がって、何度も何度も読まされました。

特にハマったのが、二番目の昼食のお話。丼ご飯の上に何を乗せるか、自分で選んでお好みの昼食を作れるんですよ。色んなバリエーションがあり、中にはアイスなんていう??な選択肢も。これが面白かったので、あとでもっと選択肢の多いバージョンを自分で作って子どもと楽しみました。

どの道を選んでもハズレとか行き止まりはありません。経路も単純です。

ただ、一つ一つのエピソードは非常に単純ですし、道の選択肢もそう多くはないので、ある程度の年齢だと何度か遊ぶ内に飽きてしまうかも。

ユーフラテスというのは、慶應義塾大学佐藤雅彦研究室の卒業生からなるクリエイティブグループで、NHKのピタゴラスイッチなどで活躍されています。この本も知的で真面目でとぼけた雰囲気がピタゴラスイッチとよく似ています。