おやおやじゅくへようこそ


文 浜田桂子
絵 同上
発行 ポプラ社
初版 2012/3/
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

おやおやじゅくへようこそ のあらすじ・内容

おやおやじゅくとは、親が通う塾です。子ども達が先生になります。子どもと楽しく暮らすために、勉強します。

子ども達が親の皆さんをお見送り。さあ、おやおやじゅくが開講しますよ~

おやおやじゅくの時間割は次の通りです。
1時間目 こどものおしごとをべんきょうする
2時間目 おやのおしごとをべんきょうする
3時間目 トレーニング
4時間目 ドリルでテスト

おやおやじゅくへようこそ の解説・感想

子どもも楽しめる親が学ぶ絵本

親が学ぶ塾ですから親が読むといい内容だと思いますが、お子さんももちろん楽しめます。子どもが親にわかってほしい事がいっぱい書いてあるので子どもにとって会心の内容と言えるかも知れません。そもそも大人が生徒で子どもが先生という日常とは逆の状況というだけでももう子どもは嬉しいでしょう。

しかし何より親が子どもに読み聞かせて一緒に楽しむのがなんと言っても一番でしょう。一緒に読むことによって、内容が共有でき、さらに共有している事をお互いが知っているので、親にとっても子にとっても照れくさいようなあったかいような幸せな時間になるだろうし、より内容が身につきやすいようにも思います。

塾と言っても決して堅苦しい本ではありません。子どもの目線・立場を親が理解するという事が主眼なんですけど、子ども先生の講義という形でユーモアを交えて楽しく語っています。

授業に入る前に

授業に入る前に講師から生徒達へメダルが贈られます。毎日子育てを頑張っているから、という理由です。ウチの子どもは小さい頃、私の誕生日や父の日に「いつも遊んでくれてありがとう」とか書かれたお手紙とかくれてましたね。多分読者のお子さん達も同じような事をやっているでしょう。読者の親御さんにその時の気持ちを思い出させることで、その後の授業内容を素直に聞き入れてくれるようになってほしいという意図があるように思えて、なんだか笑ってしまいました。

最初の授業は子育ての基礎知識・心構え

1時間目は『こどものおしごとをべんきょうする』です。子どものお仕事ってなんでしょう。授業の中でいくつか紹介されています。『さわる』『やぶく』『なめる』『なく』…等々。特に一つだけ取り上げますと『しっぱいすること』。子どもがお漏らししてしまっている絵が描かれています。失敗するのはお仕事なんですね。そう言われると確かにそう。失敗しながら色んな事を学んでいくんですもんね。失敗を否定してしまったら、成長を否定する事にもなってしまいます。読者の子どもからすると、泣いたり、失敗したり、ネガティブと思われることも気にしないで自分が思うように自由に色んな経験をしていいんだというお墨付きをもらうようで気持ちいいかも。1時間目の内容は、浜田桂子さんが考える『子育てをする上での基礎知識・心構え』を解説しているようです。

次の授業は子育てでやるべき事とやってはいけない事

2時間目は『おやのおしごとをべんきょうする』。親のお仕事はなんでしょう。いわゆる職業の事ではないんです。子どもとの関わりの中でのお仕事です。これもいくつか紹介されています。例をあげると『だっこすること』。抱っこができるように親の体は大きいのです、という説明。笑っちゃうけど真実かも知れないですね。あと『こどものはなしをきくこと』。これは確かに大事な仕事ですよね。そして、確かにそうなんだけど実際はできてないことの代表格かも知れません。2時間目の内容は、浜田桂子さんが実際の子育てにおいて実践しなければいけないあるいはしてはいけない具体的なポイントがまとめまれているようです。

こんな風に、書かれていることはある意味当たり前のことです。でも忙しいお父さんお母さんは慌ただしい日々の生活の中で、ふと忘れてしまう可能性のある事でもあります。ふとした時にこの本をめくって、おやおやじゅくで学んでみるといいかも知れません。本書の帯にはおやおやじゅくのメンバーズカードなるものが描かれています。そこには『あなたたちおやこは。いつでもどこでも、おやおやじゅくのメンバーであることをみとめます。』と。まさに、いつでもこの絵本を読み返してみてね、と言っているようです。

次はお子さんと一緒に楽しみたいトレーニング

3時間目は『トレーニング』。トレーニングは面白かったな。親に必要な体力や技術を身につけるトレーニングとこども目線の一風変わったトレーニングがあります。前者には笑顔トレーニングとか子どもが好きな美味しいものを作るトレーニングとか。後者はゆうれいになるトレーニングとかゴリラ歩きをするトレーニングとか(笑)。ここは親子で一緒にやったら楽しいですね。

最後にテストです

4時間目は『ドリルでテスト』。ドリルの問題は全部で3題。いずれも日常にあり得るシチュエーションでの親の取るべき対応を問うています。この問題を見て思ったのですが、親は日常生活において常に、こどもにどう対応していくべきかを試されているようなものですね。完璧は無理としても、惰性に陥らずに、こどものためにどうするのが最善なのかという意識を忘れたくないと思いました。ここも親子で一緒に答えを考えたら面白いでしょう。お子さんの意外な考えなどを聞けるかも知れませんよ。

作者が一番言いたかった事とは

こうして最後まで読んでみると『子育てで大事なことはみんな子ども自身が教えてくれる』という事がこの絵本で作者の浜田桂子さんが一番言いたかった事なのかも知れないなと思いました。

さりげない裏表紙がいい

表紙に描かれている子ども達は、実はおやおやじゅくの講師達なんですよ。職場であるおやおやじゅくに向かっているところです。そして裏表紙を見ると、講師の一人が自分のお家でお父さんと一緒にお風呂に入っている微笑ましい場面が描かれています。当たり前ですけど講師も普通の子ども。お父さんに甘えているところが見られて、子どもが本来の子どもらしい姿に戻っているのがわかって、なんとも和みます。いい絵です。

浜田桂子さんの絵本を他にもいくつかご紹介しています。浜田桂子さんの作品はどれも親と子が幸せな関係でいてほしいという願いが感じられ、またいずれも独自のアプローチをとったオリジナリティのあるものばかりです。是非他にもご覧になってください。 →  タグ『浜田桂子

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。