おしゃべりなたまごやき


文 寺村輝夫
絵 長新太
発行 福音館書店
初版 1972/12/10
対象年齢 4歳から
文字の量 やや多め
ページ数 32
発行部数 95万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 B

おしゃべりなたまごやき のあらすじ・内容

ある国の王様のお話です。朝の仕事と勉強の時間を終えて休み時間になった王様は城内を散歩していました。そして鶏小屋を見つけます。中には鶏がギュウギュウ詰めになっています。ふとした同情心から王様は鶏小屋の鍵を開けてしまいます。大量の鶏が出てきて、慌てて逃げ出した王様についてきます。それを見たお城の兵隊は王様を救出して鶏小屋を開けた犯人探しを始めます。

部屋に戻った王様は手に持ったままになっていた鶏小屋の鍵に気づき、自分が犯人と気付かれないように窓から外に捨ててしまいます。ところがそこに一羽の雌鶏がいてこの一部始終を見ていました。王様は雌鶏に「わしが鶏小屋を開けたのを誰にも言うなよ。黙っていろ」と言い聞かせます。

犯人探しは続きますがなかなか捕まりません。王様はだんだん可笑しくなってきました。王様は知らぬふりをして「鶏小屋を開けた犯人を捕まえて、牢屋に入れてしまえ」と兵隊に命令しますが…

王様の嘘を巡る、ユーモアのある楽しいお話です。

おしゃべりなたまごやき の解説・感想

愛嬌のある王様のキャラクターがいいです。臣下の者達のあいさつを聞いたり、お勉強したりの日常の中で唯一楽しいのが、休憩時間に遊ぶこと。こんな王様だから、自分の失敗をごまかそうとして嘘をついても、何となく憎めません。

王様自身も、犯人が自分である事に誰も気づかずにいることが可笑しくてたまりません。嘘はもちろんよくないのですが、いたずらや自分だけの秘密を持っている可笑しさはよくわかりますね。

その後王様の嘘は奇想天外なルートでバレそうになるのですが、それは本を読んでのお楽しみ。

読者の子どもは犯人が王様だと知っていますが、臣下の者達はまったく知りません。王様は自分が犯人である事はもちろん知っています。そして臣下の者達が真犯人を知らないことも知っています。この前提が本作の面白いストーリーの源泉です。この辺り、大人は当然理解できるでしょうが、小さい子どもには込み入ってて理解しにくい面もあるかも知れません。でもこの文章では大人向けなら皆まで言わないところをあえて書いてあってわかりやすく、何が面白いのかを理解しやすくなっています。

文字が小さくて文章が長いページがいくつかあります。物語が面白くなる前に飽きる子どもも中にはいるかもしれません。そこがちょっと心配ではあります。

絵は長新太さんなので、このストーリー同様にユーモア感たっぷりです。表紙を見ていただいてわかると思いますが、のびのびした大胆な構図とビビッドな色使いでかなり特徴的です。好き嫌いは分かれるかも知れませんけどね。

この作品、セリフや歌で構成されたCDも出ています。

幼稚園などで、劇として採用されることもあるようですよ。

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