おおきな木


文 シェル・シルヴァスタイン
絵 同上
訳 村上春樹
発行 あすなろ書房
初版 2010/9/10
対象年齢 6歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 55
発行部数 不明
オススメ度 B

おおきな木 のあらすじ・内容

少年は大きな木が大好き。大きな木も少年が大好き。いつも一緒に遊んで幸せな時間を過ごしていました。ある時は葉っぱを集めて王冠を作り、ある時は木登りをし、ある時はリンゴをかじります。(この木はリンゴの木なのです。)

やがて少年は成長し、大人になっていきます。それにつれて大きな木と過ごす時間も少なくなり、やがてまったく来なくなります。

ある日もはや青年となった少年がおおきな木の元へ久しぶりにやってきます。おおきな木は昔のように木のもとで遊びなさいと言いますが、少年はもう遊ぶ年じゃない、物を買って楽しむためにお金が必要だと言います。おおきな木は木になっているリンゴをとって売ればいいと提案し少年はその通りにします。木は幸せでした。

しかしその後長い間少年は来なくなり、おおきな木は悲しんでいました。しかしある日また少年がやってきます。もう既に大人になっています。おおきな木はまた子どもの頃のように遊びなさいと誘いますが、少年は忙しくてそんな暇はない、家が必要なんだと言います。おおきな木は自身の枝を切って家を作りないと提案し、少年はその通りにします。木は幸せでした。でもまたその後長い間少年は姿を見せなくなります。

次にやってきた時、少年は既に老人になっていました…

おおきな木 の解説・感想

1964年にアメリカで出版されて以来、世界各地で読み継がれてきたロングセラーの作品だそうです。

人生について静かに考えるきっかけとなる作品

少年の成長に合わせ、淡々と時系列にエピソードを積み重ねていきます。どんでん返しや盛り上がり、驚くような結末などとはこの絵本は無縁です。絵もモノクロでシンプルな線画。とても地味な作品なのですが、押し付けがましくないのがかえって奥行きを感じさせます。人生について静かに考えるきっかけとなるような作品です。

色んな受け取り方ができて、性別、年齢、境遇などによって、読み取るもの感じるものが違うかも知れません。1ページ1ページ、様々な感情が行間に描かれていてアルバムのようでもあります。(アルバムは大体いい表情の写真だけですが、この本はちょっと違いますけどね。)一時だけハマってすぐに飽きるようなタイプの作品ではありません。折りに触れ年齢に関係なく何度も読み返すものだと思います。

簡単だけど子どもが楽しめるかどうかは…

難しい言葉はないので、こどももストーリーは十分理解できると思います。でもあまり小さい子にはちっとも面白くないかも知れないと思って6歳からにしてみました。6歳でもどうかわかりませんが…。基本的にこどもに向けてこどもが楽しむために書かれた絵本ではないように思います。むしろ大人が読んだ方がいいとも言えます。

私にとって木は『親』

訳者村上春樹さんのあとがきの一部にこう書かれています。

あなたはこの木に似ているかもしれません。あなたはこの少年に似ているかもしれません。それともひょっとして両方に似ているかもしれません。

私はこの絵本を読んだ時、このおおきな木は『親』だと感じました。無償の愛を与え続ける『親』です。私の両親はこれを書いている現在も健在です。そして私自身が人の親でもあります。親であり子どもでもある自分とその前後につながる別の人格を俯瞰して見るいいキッカケをなりました。この作品の中では少年はずっと一貫して『少年』と呼称されます。まるで子どもがいつまでも親にとって子どもであるように。

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