おじさんのかさ


作 佐野洋子
絵 同上
発行 講談社
初版 1992/5/28
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

おじさんのかさ のあらすじ・内容

おじさんは立派な黒い傘を持っていました。大事にしていたので、お出かけの時はいつも持っていきます。でも雨が降っても傘をさしません。傘が濡れるからです。雨が降り出して止みそうにない時は、知らない人の傘に一緒に入ってしまいます。傘が濡れるからです。

ある日おじさんが公園にいると少し雨が降ってきました。おじさんはやはり傘をさしません。小さな男の子がその傘に入れて欲しいと言ってきましたが、おじさんは聞こえないふり。

やがて男の子の友達の女の子が来て、持ってた傘に男の子を入れてくれました。そして二人で「雨が降ったらポンポロロン 雨が降ったらピッチャンチャン」と歌いながら帰っていきました。

おじさんはその歌が気になりました。「ほんとかなあ」そして試しに傘をさしてみました。すると傘に雨が当たってポンポロロンと音がしました。「ほんとだあ」おじさんは嬉しくなってきました。

さらにおじさんが街へ歩いていくと、多くの人が長靴を履いてピッチャンチャンを音をさせながら歩いています。「ほんとだあ」上からはポンポロロン、下からはピッチャンチャンと楽しい音が聞こえてきます。

おじさんのかさ の解説・感想

子どものようなおじさん

おじさんはコートとハットを身に着けてヒゲを生やしてお洒落な出で立ちなのですが、中身は子どもみたいでかわいいのです。傘を大切にしているのはわからなくはないですけど、自分の傘を濡らさないために人の傘に入ったり、そのくせ子どもが入れて欲しいと言っても聞こえないふりですもんね。そんでもって子ども達の歌に心を動かされて傘をさしてみるのですから。まったく良くも悪くも子どもみたいな人です。そしてまた、こういう常識的な世界から足を踏み出してる人(失礼!)のお話は子どもに受けやすいですね。

おじさんの奥さんもまた面白い人です。傘を濡らして帰ってきたおじさんに対して「あら、かさをさしたんですか、あめがふってるのに。」ですもん。なんかいい夫婦ですね。

〇〇らしくある、ということ

同じく佐野洋子さんの『ねえとうさん』もそうでしたけど、『〇〇らしくある』というテーマが本作でも出てきます。濡れた傘を見ておじさんはこう言います。

ぐっしょり ぬれたかさも いいもんだなあ。だいいち かさらしいじゃないか。

柳は緑、花は紅、傘はびっしょり、というところでしょうか。佐野洋子さんは中国で生まれ、小学生の時に大連で終戦を迎えているようです。それまでの価値観・世界観がひっくり返るような大変なご苦労をされたのだろうと推察されます。そういうご苦労の中からこのような人生観が生まれたのでしょうかね。佐野洋子さんのエッセイとか読むと、ホントに『らしさ』を感じますね。

一般的には黒い線で輪郭を描いたところに色を付けるタイプの絵が多いと思いますが、この絵本の絵は青く太い線で輪郭が描かれています。雨を意識されてのことですかね。清々しい透明感があって雨も悪くないものだという気にもなってきます。子どもっぽいおじさんの表情も見てて楽しいです。

本作は教科書に載ったこともあるようですよ。

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