月夜のみみずく


詩 ジェイン・ヨーレン
絵 ジョン・ショーエンヘール
訳 くどうなおこ
発行 偕成社
初版 1989/3/1
対象年齢 8歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 A

月夜のみみずく のあらすじ・内容

私(女の子)はワクワクしてこの時を待っていました。冬の夜更けにお父さんと二人で森へみみずくを探しに行きます。

静かな中に二人が雪を踏む音がしゃりしゃりいっています。二人はずっと黙っています。みみずくに会いに行く時は静かにしなくちゃいけないよ、といつもお父さんが言っていました。

森の入口に着くと、お父さんはみみずくの声で「ほうーほう ほほほほーう」と合図します。しかし返事はありません。みみずくは会えたり会えなかったりするのだと兄さん達が言っていました。

二人はもっと奥へと歩いていきます。とても寒いです。でも寒さを吹き飛ばさなきゃみみずくには会えません。真っ暗な森の奥には何かいるみたい。みみずくに会うには勇気も必要なのです。

森のなかにぽっかり空いた空き地に出ました。一面の雪を月が照らしています。何かを聞きつけたお父さんはもう一度みみずくに合図を送りました。

月夜のみみずく の解説・感想

文章も絵もとても美しい絵本です。

詩の形で語られる

文章は詩ということですが、女の子の視点でその時の様子・経過、そして気持ちが詩情豊かに綴られています。辺りの厳かで厳しく美しい自然の情景が、そしてピンと張り詰めた冷たい空気が伝わってくるようです。女の子がワクワクしながら非日常の世界をお父さんと二人で探検するのがとても嬉しそうです。

お父さんの役割は子どもをワクワクさせることかも

冒頭の献辞。ヨーレンさんは

こどもたちを、みみずく探しにつれていってくれた夫に

と書いています。作者の家族の体験なんですね。素敵なお父さんです。もしかしたお父さんの役割って子どもをワクワクさせることなのかも知れないと、ふと思いました。この体験は女の子にとって一生の宝物となることでしょう。実は私も子どもの頃父に連れられてまだ暗い中をバイクに乗り、海へシロギス釣りに連れて行ってもらった経験があります。その時のワクワク感を思い出しました。暗く静かな海の雰囲気、潮の香り、魚のアタリ、竿に伝わる感触、そして朝日がのぼり人々の日常が始まる感じ、それらは今も鮮明に胸の中に残っています。

みみずくが現れる瞬間

この後、二人はみみずくに遭遇します。お父さんの合図に呼応したみみずくが二人のすぐ前の木の枝にほんの一時とまるのです。お父さんの明かりに照らされたみみずくとしばらく見つめ合います。読んでいて鳥肌がたつような瞬間です。

美しい絵

絵はペンで書いたところに水彩で着色されているようです。白と青と黒を基調として美しくて神秘的な風景が描かれます。そんな中に現れたみみずくは茶色と黄色で描かれていて、自然に生きる大きな生き物の迫力が見るものをハッとさせます。

私はとても好きな作品です

面白いあらすじとかありません。言ってみれば夜にみみずくを探しに行って見てくるだけなので、この本が好きになるかどうかは人それぞれかも知れないですね。しかしこのようなタイプの絵本は私は他に知りません。私にとってはとても好きな作品でした。是非大人にも読んでいただきたいです。

偕成社のサイトでは本作の対象は『小学校低学年から』となっていました。私もそれにならいました。でももっと上でも全然構わないし、その方がより楽しめるかも知れません。だって大人でも楽しめる作品ですから。

この絵本は1988年にコールデコット賞を受賞しています。他にもコールデコット賞を受賞した作品を紹介しています。 → コールデコット賞

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