おだんごぱん


ロシアの昔話
絵 わきた かず
訳 せた ていじ
発行 福音館書店
初版 1966/5/1
対象年齢 4歳から じぶんで読むなら 小学校初級向き
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 24
発行部数 不明
オススメ度 B

おだんごぱん のあらすじ・内容

昔、あるおじいさんが美味しいものが食べたくなって「おだんごぱんを作って欲しい」とおばあさんに頼みました。おばあさんは粉箱をごしごしかいて粉をかき集め、それでおだんごぱんを作りました。

窓のそばで冷やされていたおだんごぱんですが、だんだん寂しくなってきてついつい転がり始めます。椅子へ、床へ、廊下へ、そしてとうとう外へ。

おだんごぱんは野原でうさぎに出会いました。うさぎはおだんごぱんを食べようとしますが、おだんごぱんは歌を歌い始めます。

ぼくは、てんかの おだんごぱん。ぼくは、こなばこ ごしごし かいて、あつめて とって、それに、クリーム たっぷり まぜて、バターで やいて、それから、まどで ひやされた。けれども ぼくは、おじいさんからも、おばあさんからも、にげだしたのさ。おまえなんかに つかまるかい

歌い終わったおだんごぱんはころころ転がって逃げてしまいました。

その後、おおかみとくまに会いますが、同じように歌を歌って逃げてしまいました。そして今度はきつねに出会います。

おだんごぱん の解説・感想(注:ラストをご紹介しています)

子どもにウケやすい要素が盛り込まれている

大人が読むと何ということもないお話かも知れませんが、子どもにウケやすい要素がいくつも盛り込まれた絵本です。

単純ですけど、意思を持ったまあるいパンがコロコロ転がって逃げるというシチュエーションは、それだけで楽しい雰囲気です。因みにタイトルにもなっている『おだんごぱん』ですが、そういう種類のパンがあるわけではなくて、多分コロコロ転がることからの連想でつけられた名前なのだと思います。英語版のタイトルは『The Rolling Pancake』になっています。

子どもの好きな繰り返しがあります。上記のあらすじで紹介したおだんごぱんの歌ですね。動物に会うたびに歌います。繰り返し部分が歌になっているのも楽しさを増していいですね。読み聞かせするお父さんお母さんが適当な調子をつけて歌ってあげればいいと思います。ちょっと長いですけど。

唐突な終わり方がいい

(ネタバレ)最後にきつねに会うわけですが、調子に乗っていたおだんごぱんもきつねの知恵の前に敗れ去り、食べられてしまいます。きつねは今までの動物とは雰囲気が違います。おだんごぱんの歌を褒めたりするんですね。おや、なんかちょっと今までと違うぞ、と読者の子どもが思っている間に、最後はあっさりと食べられてしまうんです。ほんとに突然あっさりと。ページをめくったらもう食べられてたみたいな。読者もおいていかれた感じ。ここは子ども達もおだんごぱんと同じようにきつねにやられた感じになってあっけにとられるかも知れません。すごくうまい持って行き方だなと思います。

あと、この唐突にお話が終わる感じが私は好きなんです。独特の余韻と言いますか、一種の寂しさみたいなものが。『てぶくろ』『そらいろのたね』という絵本でも同じように突然にお話が終わってましたね。絵本と全然関係ないですけどビートルズのアルバム『アビーロード』に収められている『I Want You (She’s So Heavy)』という曲もそうでした。

絵は洋画家の脇田和さん

絵を書いているのは洋画家の脇田和さんです。色合いやタッチが絵と似ているのでもしかしてタイトルの文字も脇田さんの手によるものなのでしょうか。表表紙の自分を食べようとする者達に囲まれるおだんごぱんの表情、裏表紙のきつねに食べられたおだんごぱんの表情など、遊び心が感じられて好きです。私は絵にはあまり詳しくないのですが、脇田和さんの描かれる絵画は童話にも通じるような素朴で純粋なものを描いているような気がします。気になった方は軽井沢に脇田美術館がありますので、そこで作品をご覧になれますよ。

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