もりのこびとたち


作 エルサ・ベスコフ
訳 おおつかゆうぞう
発行 福音館書店
初版 1981/5/20
対象年齢 4歳から 自分で読むなら小学校初級から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 34
発行部数 不明
オススメ度 A

もりのこびとたち のあらすじ・内容

深い森の奥の松の木の根元の穴が小人の家族のお家です。お父さんお母さん、4人の子どもが暮らしています。お隣さんはリスの家族。

描かれるのは、子ども達が森で遊ぶ様子、動物たちとの関係、お父さんが悪い蛇を退治する様子、トロルのいたずら、冬に向けての食糧集め、綿がとれる実を集めて糸や布を作る様子、森の妖精、ふくろうの授業、ソリ遊び、焚き火のそばでのお父さんのお話の様子など。

特に全体を通してのストーリーはなく、夏から始まって次の春までの一年間の小人の家族の豊かな生活・小さなエピソードを一つ一つ拾って描いた美しい絵本です。

もりのこびとたち の解説・感想

ストーリーは特にないので特別好きでない人には一見何ということもない内容ですが、こういう世界が好きな人にはたまらない宝物のような絵本でしょうね。ディテールが詰められていて、宮崎駿さんのアニメーションにも似たクオリティを感じます。絵も細かいところまで書き込まれていて、本当にこんな世界があるように思わせる説得力があります。

表紙を見ると子ども達が白い点々の入った真っ赤な帽子を被っているのがわかるでしょう。とても可愛いですが、この帽子は人間や怖い獣に遭遇した時のための意図のあるデザインなんです。危険を察知したらしゃがんでじっとするんです。帽子はキノコのようなのでそれでやり過ごすというわけ。こういう細かいこだわりがいくつも作中にありリアリティを高めてるんですよ。作者さんもこういう世界が好きで楽しみながら想像を重ねて作っていったのかも知れませんね。

もう一つ表紙の話ですけど、あえて小人をメインに据えずに大きな岩を描いてそこからちょっとだけキノコの帽子を被った可愛い小人の子ども達が半分顔を出してる様子を見せてますね。導入としてはすごくよく出来てると思いませんか。こんな表紙を見たらどうしたって中身を期待しちゃいますよね。

で、実はラストも面白いんです。「この後はみなさんが考えてください。そしたら終わりのないお話ができますよ!」って読者に投げちゃうんです。珍しいですよね。でも作者さんがやったであろうと同じように小人達の生活を想像するのはとても面白いでしょう。実際に親子で続きを考えてみたらいいかも。

ページの構成は統一されてて、左ページに文章とモノクロの挿絵、右ページに大きく美しいカラーの絵があります。右の絵は見るだけでも楽しめるでしょう。細かく書き込まれてるので読者の子どもも色んな発見ができるかと。もちろん左の小さめの絵も色んなタッチの絵があってそれぞれ可愛くて楽しめます。

文章はほとんどひらがなでカタカナが『トロル』『セーター』『シーソー』『ベッド』『アネモネ』『ダム』だけでたま~に混じる程度。漢字は『四』『三』『八』だけで読み仮名もふってあります。ひらがなさえ読めるようになったら(カタカナはちょっとサポートしてあげれば)お子さん一人でこの絵本に没入することもできますよ。読み聞かせもいいけど、一人で思う存分この豊かな世界に浸るのがもしかしたら本書の一番の楽しみ方かも知れません。

日本では1981年の出版ですが、原書は1910年と非常に古い作品のようです。スゥエーデンの絵本です。

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