ふくろうくん


作 アーノルド・ローベル
訳 三木卓
発行 文化出版局
初版 1976/11/20
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 64
発行部数 不明
オススメ度 B

ふくろうくん のあらすじ・内容

この本は5つの短編からなります。いずれも一人暮らしのふくろうくんのお話で、他に登場人物はいません。なんだか一人芝居みたいです。

おきゃくさま:ふくろうくんが暖炉のそばで夕食をとっていると、玄関でドンドンという音がしました。出ていってみましたが誰もいません。少しするとまた音がしましたが、やはり誰もいません。これは『冬』が暖炉にあたりたがっているのだなと考えたふくろうくんは玄関のドアを開けて冬を招き入れます。すると冬は家の中で大暴れして暖炉の火は消すは雪は積もるは大変なことになります。

こんもりおやま:ふくろうくんはベッドに入って眠りにつこうとした時、ふと毛布の足元の辺りが2ヶ所こんもりと盛り上がっているのを見つけました。毛布の中を覗いても何も見えません。足を動かしてみるとこんもりも動き出すのでびっくり。でも毛布を跳ね除けても自分の足がある他は何もありません。ふくろうくんは気になって眠れなくなってしまいます。

なみだのおちゃ:ふくろうくんは今晩、涙でお茶を淹れることにしました。やかんを取り出し、膝の上に乗せ、悲しいことを考えます。するとひとつまたひとつと涙がやかんの中に溜まっていきます。

うえとした:ふくろうくんの家は2階建てです。ふくろうくんが1階にいる時は2階の様子はわかりません。2階にいる時は1階の様子はわかりません。同時に1階にも2階にもいられる方法はないかと考えたふくろうくんは、猛スピードで階段を登ったり降りたりすることを思いつきます。

おつきさま:ふくろうくんは夜に海を見ていました。やがて海の向こうからお月さまが顔を出し、その内に頭上まで登って輝くようになりました。ふくろうくんはお月さまに友達になろうと言います。そろそろ帰ろうとするふくろうくんですが、お月さまはふくろうくんを追いかけてきます。一緒に来なくていいよと言ってもやはり付いてきます。

ふくろうくん の解説・感想

出版社である文化出版局のサイトでこの本の紹介ページを見てみると面白い紹介文がありました。

おひとよしで、ちょっぴりまがぬけていて、善意あふれるふくろうくんの物語。見事な絵と語り口の、いぶし銀のような絵本です。読みきかせに最適。

『いぶし銀』というのがとても可笑しいです。でもこの本の一面を言い得ている気がします。ふくろうくんは一人暮らし。本作の中では他の登場人物はなく、語られるのはほとんどが家の中でのふくろうくんの様子だけです。セリフもふくろうくんの独り言のようなものばかり。すごーく地味なお話なのです。でも噛めば噛むほど味が出るようなスルメにも似た魅力があります。上の紹介文にも書かれている通り、お人好しでちょっと滑稽なふくろうくんが織りなす独特のユーモアを含んだなんとも和めるお話を堪能できます。一周回ってなんかちょっと哲学的な雰囲気さえも漂いますね。

絵もお話に負けず劣らず渋いです。色使いは地味だし、なんと言っても主人公がふくろうくんなので華はありません(笑)。各見開きに必ず絵がありますが小さめの絵のことも多くて、絵本ではあるかも知れませんがやや児童文学寄りの感じがあります。

この本について色々調べてみると、大抵は小学校低学年向けの本として扱われていることが多いようです。自分で読むなら確かにそうなんでしょうけどね。しかしふくろうくんのセンスは、まだ広い世の中を知らない子どもが身近なものに向ける興味や感覚に近いと思うんです。読み聞かせるなら4歳位でもいいのではないかなと私は思いました。ページ数は多いですけど5編に別れていますし、字数もそう多くないです。一気に読むのでなければそこも問題ではないだろうと思います。

本作が気に入ったら、同じアーノルド・ローベルさんの独特のテイストが楽しめる『ふたりはともだち』もどうぞ。

 

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