ペレのあたらしいふく


作 エルサ・ベスコフ
訳 おのでらゆりこ
発行 福音館書店
初版 1976/2/3
対象年齢 4歳から
文字の量 かなり少なめ~やや少なめ
ページ数 15
発行部数 不明
オススメ度 B

概要

ペレは自分の子羊を持っていました。自分で世話までしていたのです。

やがて子羊は大きくなりました。ペレも成長して、上着が小さくなってきました。

ある日ペレはハサミで子羊の毛を刈り取りました。そしてその毛を持っておばあちゃんに「この毛をすいて欲しい」と頼みました。おばあちゃんは「人参畑の草取りをしてくれるなら、すいてあげるよ」と言いました。ペレは草取りをしておばあちゃんに毛をすいてもらいました。

次にペレは別のおばあちゃんに「この毛で糸を紡いで欲しい」と頼みました。するとおばあちゃんは「牛の番をしてくれるならいいよ」と言いました。

ペレが大人たちの協力を得て自分の新しい服を作るまでの過程を追った絵本です。

感想

この本での服を出来上がるまでの工程は以下の通りです。

  1. 毛を刈る
  2. 毛をすく
  3. 糸を紡ぐ
  4. 糸を染色する
  5. 布を織る
  6. 洋服に仕立てる

この内、1と4(材料は買ってもらう)はペレが自分でやっています。あとは大人たちがペレの労働の対価としてやってくれます。『労働の対価』というのは、ペレがその大人の手伝いをして、その代わりに服を作る工程をやってもらうという事です。子ども相手に「あ~よしよしわかったよ」とただやってあげるのではなく、「バカバカしい」と相手にしないわけでもないんですね。(実は大人の幾人かは最初だけ「小僧、何を言い出すんだ?」と訝しむ人もいるのですが、すぐに思い直します。)大人たちが子どもであるペレに対して将来ある一人の人間として接しているのがなんかいいです。大人の一人としてはちょっと見習いたいところです。そしてペレも手伝いを一所懸命やることで一人の人間として応えています。

しかしながらこの本においてはそういう教訓的なことよりも、子どもにとってワクワクするのは、今まで何気なく着ていた服というものが実は多くの背景を持っていたという発見と、これを一人の子どもがやっている(すべての工程を自分でやるのではないにしても、頼むべき人に頼むという能動的な態度である)という点ではないだろうかと思うのです。自分の知らない世界がまだまだあって、自分が色んな可能性を持っていることに暗に気づくことによるワクワク感です。私はこのワクワク感というものが子どもに一番大切なものだと思いますし、想像力と創造力の源泉になるものだと思います。

ただ、この本は結構地味です。ハラハラドキドキとか可笑しくて笑っちゃうような要素は皆無です。淡々と工程がすすむだけです。だからすべての子どもがワクワクするかというとそうはならないとは思いますけどね。

私の好きなタイプの細部まで描き込まれた美しい絵です。作者はスゥエーデンの方だそうです。スゥエーデンに詳しいわけじゃないのでそれらしさは判別できませんが、舞台は少し昔の山の田舎町といったところでしょうか。山の美しい自然と豊かで懐かしいような文化に魅せられます。

服をイチから作るという主旨の名作絵本は他にもあるんです。→ 服を作る

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