とっときのとっかえっこ


文 サリー・ウィットマン
絵 カレン・ガンダーシーマー
訳 谷川俊太郎
発行 童話館出版
初版 1995/3/15
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

概要

女の子ネリーがまだ赤ちゃんだった頃、お隣のバーソローミューおじいさんが毎日乳母車でネリーを散歩に連れてってくれました。

ネリーは徐々に成長し、バーソローミューは徐々に老いていきます。でも二人は近所の人達から『ハムエッグ』と呼ばれるほど相変わらず仲良しです。

ネリーが小学校に通うようになってからある日、バーソローミューは階段で転んで救急車で運ばれました。長い間帰ってきませんでした。ネリーは毎日手紙を書き、また散歩に行きましょうと励まします。

バーソローミューがようやく家に帰ってきた時、彼は車椅子に乗っていました。そして「これで散歩はもうおしまいだな」とネリーに言いますが…。

感想

老人と子どもの交流のお話は数多くあると思いますが、その中でも本作は今までで私の一番のお気に入りになりました。感動の押し売りのような雰囲気がまったくないし、オー・ヘンリーの短編のような構成の妙と爽やかな読後感がよかったです。

二人の散歩の様子はとっても楽しそうで読者の子どもは引き込まれそう。こんな散歩をしてくれる大人が傍にいたら子どもは幸せだよな~。好奇心いっぱいに育ちそうな気がします。

タイトルの『とっかえっこ(とりかえっこ)』とは何なのでしょう。感のいい人は気づいたかな。この『とっかえっこ』は読者の子どもにはとても新鮮に映ると思いますよ。

この絵本の中で私がとても好きな場面が2つあります。

一つはネリーが歩けるようになってきた頃。ネリーは手を掴まれるのを嫌がるようになります。それからバーソローミューはいざという時にしか手を貸さないようにします。バーソローミューは本当にネリーの事を大事に考えているのだなと感じました。

もう一つは、バーソローミューがネリーに昔のお話を聞かせてあげている時。ネリーはお話がたね切れになることはないのかとバーソローミューに尋ねます。彼はこう答えます。「もうそうなっても黙っていればいいんだ。仲良しならそうしていられる」

こうしたバーソロミューの言葉や態度はネリーにもいい形で伝わっていくことでしょう。実際本作の中でもその様子が伺えます。現代の日本は『老害』だとか『暴走老人』だとか今までにないような言葉が生まれるような環境になってきていますね。私もバーソロミューのような歳のとり方をしたいものだと思いました。

場面場面に沿った絵を大小織り交ぜていっぱい載せてあって何だかアルバムのようでもあります。これだけ絵があったら子どもも飽きる暇がないかも。漫画チックなタッチですけど、温もりとユーモアがあってどの絵にも二人の心情が感じられました。

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