【児童文学】びりっかすの神さま


文 岡田淳
発行 偕成社
初版 2006/4/1
対象年齢 小学校中学年~
ページ数 186

びりっかすの神さま のあらすじ・内容

小学四年生の木下始は今日この学校に転入してきました。

始は教室内に背中に羽の生えたヨレヨレの背広を着た小さな男の人(びりっかすと名付けられる)が天使のように宙を舞っているのを一瞬見かけます。どうやら先生や他の生徒には見えない様子。

このびりっかすはテストなどでクラスのビリになった人にだけ見えて、かつ心の中で会話もできるようです。この教室ではテストの成績などの順番で座席の位置を決めています。始は本当はそこそこ勉強ができるのですがびりっかすと話をするのが楽しくてわざとテストで0点をとったりするようになります。

隣の席のみゆきは始が来るまでクラスの一番端の席(つまりビリの席)にいた子です。0点ばかりとる始の事を心配してみゆきは親切にするのですが、やがて始の行動に疑問を持ち始めます。

びりっかすの神さま の解説・感想

概要に書いたのはほんの触りの部分です。あんまり書くとこれから読む人に申し訳ないのでここまでにしました。面白そうな話だとは思っていただけるかも知れませんが、実はこの作品の本当にすごいところまではまったく手が届いていません。

この作品の主題は『頑張るってどういうこと?』というもの。始は父が亡くなったばかり。父は人に負けないように頑張って頑張って仕事をする人で、始への最後の言葉も「頑張れ」でした。でも母は「人に勝つことが頑張るということなら頑張らなくていい」と言います。

そのような背景の中で始は転校し、びりっかすに出会いました。その後の展開の中で『頑張らずにわざと負けることで人を傷つけてしまったり後ろめたさを感じてしまうことがある』という事に気づきます。そしてやがて、運動会のクラス対抗リレーで、クラスのみんなが一番を目指して頑張るべきかどうかという議論へと発展していきます。

説教臭い話のように聞こえてしまうかも知れませんが、全然まったくそんなことはありません。ウチのこどもは面白がって読んでいました。お話として非常によく練られていて最後まで飽きずに読むことができると思います。例えばですね、毎回ビリになると言ってもさずがに毎回0点ではちょっとまずいわけですよ。どうするのでしょう。そしてやがて始はみゆきにびりっかすの事を打ち明けて仲間になります。でも二人が同じ点数でビリにならなければびりっかすの事を共有することはできません。そしてまた、やがてみゆきの他にも仲間が増えていった時、みんなでびりっかすを共有するにはどうしたらいいのでしょう。(おっと、書きすぎないようにといいながら調子に乗ってしまいました。ここまででやめておきましょう。)私も最後まで面白く読めました。

子どもってこんな風に色んなことを考えて色んな事に悩んで毎日を生きているのでしょうね。そんな当たり前のことを思い出させてくれるこの作品は子どもを持つ親にも是非読んで欲しいと思います。

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