くんちゃんのだいりょこう


文 ドロシー・マリノ
絵 同上
訳 石井桃子
発行 岩波書店
初版 1986/5/26
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 36
発行部数 不明
オススメ度 A

概要

子ぐまのくんちゃんが、お父さんお母さんと一緒に森を散歩していました。だいぶ寒くなってきて、そろそろ冬ごもりの準備をしなければいけない時期です。

くんちゃんが木にとまっている鳥に話しかけたところ、鳥はこれから南へと渡っていくのだと言いました。くんちゃんは冬ごもりをせずに自分も南へ渡ってみたいと思い、お父さんお母さんに相談します。

感想(ネタバレ注意)

タイトルは『大旅行』なんですけど、お話の中身に大旅行や大冒険はありませんのでそこは誤解しないでください。わざわざ『大旅行』としたのは、可愛いくんちゃんに対する可愛いアイロニーのようにも思えますが、でも『釣りは準備をしている時が一番楽しい』という言葉があるように、くんちゃんの心の中はもう大旅行なのでしょう。

結局のところ、大旅行…の準備で終わってしまうのですが、その過程が実にかわいいです。あれが必要だ、これもあった方がいい、と思いつくたびに家へと戻って道具を引っ張り出すのです。そしてその都度大旅行へと出発していきます。この繰り返しがとても面白くて、また心情的にもとても理解できて、お子さんも共感して楽しんでくれるかと思います。

そしてラストはやっぱりそうなっちゃうか~という結末。しかしくんちゃんの大旅行は決して終わってはいないのです。

しかしこのクマの両親の態度は素晴らしいです。実際にはなかなか真似できないかと思いますが…。南へ行くというくんちゃんの考えに対してお父さんは「やらせてみなさい」と言い、迷うことがないように目印を教えてくれます。そしてお母さんはくんちゃんの出発の度にさようならのキスをします。自分で考えて行動することの大切さと意味をわかっていて、見守りながらも自由にやらせてるんですね。そんなお父さんお母さんの態度に、読者の子どもも親とはこういうものなのだなと一種の安心感をあらためて持つかも知れません。

この親グマの態度に、モンテッソーリ教育の事を思い出しました。まさにくんちゃんはある種の敏感期を迎えたのかも知れませんね。そして親グマはそれを成長の機会と考えたようにも思えます。モンテッソーリ教育に関しては『お母さんの「敏感期」』という本をご紹介しているので、興味ある方はそちらをご覧ください。

くんちゃんシリーズはいずれも名作です。他にも『くんちゃんとふゆのパーティー』をご紹介していますよ。

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