かみなりむすめ


文 斎藤隆介
絵 滝平二郎
発行 岩崎書店
初版 1988/7/30
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

概要

雷を司る鬼の娘おシカが雲上で一人でセッセッセをして遊んでいます。セッセッセは下界に見える子ども達が遊んでいるのを見て覚えました。

どうしても下界の子ども達とセッセッセで遊びたいおシカは母鬼の反対を無視してこっそり一人で地上に降りてしまいます。

地上に降りたおシカは早速見つけた子ども達に仲間入りさせて欲しいと願い出ますが、子ども達はそれを拒みます。

感想(若干ネタバレ注意)

おシカのちょっとした冒険と地上での人間との交流が描かれています。話の内容は『八郎』のような重厚なものではなく、また『半日村』のような長い年月に渡る話でもなく、小さい子どもにわかりやすい身近なものです。おシカは鬼ではありますが、人間の小さな子どもとホントに一緒です。泣いたり喜んだりするその様子に子ども達は感情移入できる事と思います。私も読んでていじらしさ、微笑ましさを感じました。

おシカは作品の中で二度、涙を流します。一つは地上の子ども達に一緒に遊ぶのを拒絶された時。悲しい涙です。もう一つは一人の人間の子どもに遊んでもらった時。これはもちろん悲しいのではなく、また単純に嬉しい楽しいということでもなく、人の優しさに触れた暖かい涙です。斎藤隆介さんの作品によく見られる人間の心根の暖かさが本作品でも見られます。これを読む子どもにもこの2つの涙を通して何らかのいい影響があるといいですね。

他の斎藤隆介さんの作品同様に東北弁が使われています。ですがこの作品は比較的方言によるわかりにくさが少ない(まあ一部はありますが)です。また話の内容がどちらかと言うと小さい子に合っています。ただ若干文の長いページもあります。総合的に考えて対象年齢を4歳からにしてみました。

本作は、斎藤隆介さんが亡くなった後、氏の良きパートナーである滝平二郎さんが絵を付けて発表されものだそうです。この作品での絵(切り絵)は、林明子さんの絵を連想するような、子ども(おシカ)の気持ち、いじらしさが感じらるものでした。この切り絵という手法は絵画に比べるとある意味表現に少し制約があるのではないかと素人なりに考えますが、重厚なものから軽妙なもの、奥深いものと斎藤隆介さんのバラエティに富んだ作品それぞれにあった絵をその都度完成されるところが本当にすごいと改めて感じました。

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