【児童文学】大きい1年生と小さな2年生


文 古田足日
発行 偕成社
初版 1970/3/1
対象年齢 小学校低学年~中学年
ページ数 166

概要

3年生と間違われるほど背の高い新1年生まさやは、通学路の崖の下の道が怖くて一人で通れないほどの弱虫で泣き虫です。

登校の初日、怖くてお母さんに一緒に来てほしいと家で駄々をこねているところへ、上級生達が迎えに来てくれました。その一人があきよです。あきよは2年生の中でも一番背が低いのですが、気が強くてしっかりもの。まさやが崖の下の道を怖がっている事に気付いたあきよはまさやの手を取って一緒に歩いてあげます。

まさやはある日あきよから「もっとしっかりしなくちゃ」と言われます。でもしっかりするってどういう事なのかまさやにはわかりません。あきよのようになればいいんだと考えたまさやは次の日からあきよの様子をよく見ることにしますが…

感想

これは名作ですよ。古田足日さんという人は本当に子どもの目線をわかってる人なんだなとつくづく思いました。ウチの子どもも『おしいれのぼうけん』『ダンプえんちょうやっつけた』と読んできていずれも好きな話だったのですが、本作ももちろんとても気に入ってくれました。

こどもにとってこの本は魅力的な冒険に満ち満ちているのではないかと思います。特に後半のまさやの冒険は心惹かれるものがあるだろうと思います。小さい頃『家出』という考えに何だかワクワクしたことありませんでした?知らないところを探検するのってワクワクしませんでした?私も自身がかつて持っていたであろうワクワク感を思い出しました。あと、上級生とのいざこざ。これはワクワクというよりドキドキかな。(ケンカの是非は置いといて)これも小学生にとって相当な冒険でしょう。そんな色んな冒険が随所にあります。

ところでまさやは作中で面白い発見をします。『子どもには大抵の道は初めての道なんだ」。そうなんですよね。子どもの生活って実は大小様々な冒険が詰まっているのかも知れませんね。

気の強いあきよ、弱虫のまさやの他に、もう一人おっとりしたまりこ。この3人が主要な登場人物となります。人間というのは気が強い弱い、しっかりしてるしてないという一次元的なものさしで測れるものではありませんよね。まりこはいつもゆっくりした口調でのんびり屋さんにも見えるのですが、客観的な視点と注意力を持っていてこの子なりの自分を持っているという感じがします。あきよも気が強いというだけでなく、花が好きだったり、あることで涙を流したり、あるいはまさやにとっての自分の価値に気付いたり、人間の描写にちょっとした拡がりがあります。こういう描写は子どもが今まで読んできたであろう絵本の中ではなかなか見られなかったでしょうから、子どもが面白く感じる部分ではないかと思いました。

あと、登場する子ども達の頭の中の考えも興味深いです。感情的で幼稚な考えももちろんあるのですが、時に冷静で論理的な判断をくだしたりもしています。(子どもって時々大人を驚かせるような考え方を披露することがありますよね。)読者の子どももそういうところを新鮮な考え方として楽しんで読むかも知れません。

前半まさやのダメダメぶりがこれでもかと描写されて苦笑してしまうほど。でも日々の色んな出来事を経て、最後の方では少し成長してきます。自分で自分を変えようと大した努力をしたわけでもないのですが、周りの人達からの影響や日々の経験・冒険を経て、そして自分なりの考えを持って歩んでいくことで、いつの間にか成長していくのでしょう。

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