八郎


文 斎藤隆介
絵 滝平二郎
発行 福音館書店
初版 1967/11/
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 31
発行部数 不明
オススメ度 B

概要
昔、秋田に八郎という大男がいました。八郎はまだまだ大きくなりたいと願い、やがて山のように大きく成長します。

ある日泣いている男の子を見つけた八郎がわけを聞きますと、毎年この時期に大波が家の田んぼを襲うのだと、そして今両親達がその対策をとろうと集まっているのだと言います。

八郎は男の子を宥めようとしますが泣き止みません。やがて八郎は…

 

感想
楽しいとか悲しいとかそういう単純な感想が持てない、圧倒されるような作品でした。この作品はたまたま絵本という形をとっていますが、こどもだけでなくあらゆる世代が読んで味わえるものだと思います。

八郎の生き様、力と力とそして人間の気持ちのぶつかり合い、自分が生まれた意味、色んなものが重厚に描かれていてちょっと難しい面はあるかと思いますが、こどもにも何かしら理屈ではない心に残るものというのはあると思います。いや、何だか大きい話で圧倒されるだけでもいいと思います。そしてまた成長して読んだ時に別の感慨を持つことでしょう。

絵も誇張抜きですごい迫力です。どの絵もが心に残るような何かをそれぞれ持っています。よくも切り絵でここまでのものを描けるものだと素人ながら感心しました。

結びの辺りを読むとこの話は八郎潟の由来となるような風に受け取れますが、一般的に語り継がれてきた(と私が思っている)八郎潟の伝説とは少し内容が違うようです。あるいは伝説にヒントを得て創作されたのかも知れませんがその辺の事情は私にはよくわかりません。ですが個人的には私が知っている伝説以上に伝説らしいお話だと思います。

全文東北弁で書かれています。私自身は大体のニュアンスはまあわかるのですがほんの細かいところで理解できない不明な点もいくつか残りました。東北弁という事がこの作品にとって非常に大事な事であり、価値があるのだと私も感じはするのですが、一方で私だけでなくこどもにとっても大なり小なり物語の理解を妨げる障壁にもなりかねない気がします。難しいところですね。読み聞かせもちょっと練習が必要かも知れません。

本には『読んであげるなら5歳から、自分で読むなら小学校中級向き』と書いてありました。ストーリーはシンプルですが、含むものは骨太で奥深い。そして東北弁。本当に5歳からが適当なのか判断しにくいのですが、こどものイマジネーションに期待して対象年齢を5歳からにしました。

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