でんしゃはうたう


文 三宮麻由子
絵 みねおみつ
発行 福音館書店
初版 2004/3/1
対象年齢 2歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 24
発行部数 不明
オススメ度 B

でんしゃはうたう のあらすじ・内容

お母さんと男の子が電車に乗り込み次の駅に到着するまでの景色と聞こえてくる音を描いた作品です。

お母さんと子どもが待っているホームに電車が入ってきます。
かかっ かかっ     すしゅーん こっ こっ

電車に乗り込みました。
とろるるるー 「はっしゃしまあす」
ぷしっ ごろろー ぽっ

電車が走り始めます。
とっ どだっとおーん   どだっととーん どだっととーん

その後も、踏切があったり、特急とすれ違ったり、鉄橋を通過したり、カーブを曲がったりして、次の駅に到着。親子はここで下車します。

でんしゃはうたう の解説・感想

電車に乗ってる気分になれる絵本

普通の文章はまったくありません。すべてが電車に乗っていると聞こえる擬音語(あと最初と最後だけ車掌さんのセリフがあります)で構成されている珍しい絵本です。しかも電車から見える景色が細かく描かれていて、この擬音語と景色のシナジーによって電車に乗っている気分になれます。この絵本を読んでると、作者のお二人は楽しんで協力して作られたのだろうということがうかがわれます。電車好きな小さな読者はとっても楽しめる絵本じゃないかなと思いますよ。

電車の音にこだわり抜いた文

作者の三宮麻由子さんは幼い頃に視覚を失ったのだそうで、それ故か電車の歌う声をホントに細かく捉えられています。ガタンゴトンなんて単純なもんじゃありませんよ。鉄橋を渡る時は低く力強い歌、他の電車とすれ違う時には一瞬「ぼっ」と衝撃が走ったり、踏切が近づくにつれ警報音が大きくなっていく様子や、踏切を通過する時だけ起こる音の変化、徐々にスピードを落とす時のリズムの変化など、場面に応じてそれぞれ違う歌が聞こえてきます。文字にも工夫があって、大きい音は大きいフォント、小さい音は小さいフォント。踏切の音は近づくにつれ大きくなるので、フォントは少しづつ大きくなります。いや~こだわってます。この辺はフォントに忠実に読み聞かせたらこどもが喜んでくれそう。そして、読者の子どもが実際に電車に乗る機会があれば、あっこの音は!と気づいたりして、一層この絵本も実際の電車も楽しめるんじゃないかと思います。

恥ずかしがらずにリズミカルに読もう

私も以前電車通勤をしていたので大体は「あっあの音だな」というのはわかりました。よくわからない音は一部でした。でも電車にあまり乗り慣れていない人にとっては、意味のわからない音の連続ですから、これはもう読むのにかなり苦労するかも知れませんね。そもそもこれだけ擬音語だけが続く文章というのはそうそうないので、噛まずに読めるかどうか。読み聞かせのために事前練習が必要かも(笑)。コツとしては自分が電車になったような気持ちで恥ずかしがらずにかっこよくリズミカルに読むことだと思います。うまくできると歯切れのよいリズムが心地いいですよ。

電車の運転手が見る景色と同じ

表紙や最初と最後だけは乗り込む電車を外側から見た絵ですが、それ以外は終始乗り込んだ電車内から見える景色が描写されています。この景色、運転席そばから見える電車の真正面の景色なんですね。こどもの特等席です。常に見開き2ページで一つの大きな絵となっていて視界が広いです。遠近法の一点透視図法って言うんですかね、見開き2ページの中心の一点に向かって前方の景色が収束するように描かれていて、奥行きがわかるし、電車のスピード感が感じられます。迫力のある絵です。これを読むとお子さんは電車に乗ったら先頭車両に乗りたくなること間違いないと思われます(笑)

細かく描き込まれたリアルな町の様子

都心からちょっと離れたベッドタウンという感じでしょうか。若干懐かしさも感じるような町の様子です。人々や立ち並ぶお店や河原の様子など、細かく描かれていて絵を見るだけでも楽しめます。ネコが鳩を狙っていたり、前に出てきた酒屋さんの車が配達に回ってたり、後に出てくるケーキ屋さんで買い物をしたらしくお店の袋を持ってる人が歩いていたり、小さなドラマもあります。本当にリアルの街がそこにあるかのように描いています。こうなると絵の中に描かれた看板の字も読んであげるとより楽しめるかも知れませんね。

遊べます

慣れてきたらこんな楽しみ方もあるかな、という一例。座った親御さんの足の上にお子さんを座らせて、親御さんは片手に絵本、片手でお子さんの体を支えます。読みながら、電車が出発する時は加速がついて後ろに体を傾けます。踏切や特急とのすれ違い時はちょっと体を揺らしてあげます。カーブでは遠心力がかかる方向に体を傾けます。そして減速したら今度は体を少し前に傾けます。4Dの映画館みたいに楽しめるかと思います。

本には対象年齢が3~5歳と書いてあったのですが、電車好きの子なら2歳でも十分OKだと思います。

電車や汽車が好きなお子さんは多いですよね。他にも喜ばれそうな絵本を紹介していますよ。 → タグ 「電車・汽車

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