ラチとらいおん


文 マレーク・ベロニカ
絵 同上
訳 とくながやすもと
発行 福音館書店
初版 1965/7/
対象年齢 4歳から 自分で読むなら小学校初級向き
文字の量 やや少なめ
発行部数 不明
オススメ度 A

 

概要
弱虫な男の子ラチ。犬が怖いし、暗い部屋も怖い、友達も怖くていつも仲間はずれ。

ある日、ラチは小さな赤いらいおんに出会います。らいおんはラチを強い男の子に変えることを約束します。

身体的にも精神的にも徐々に強くなっていくラチ。そしてある日、困っている友達を助けようとしたラチは…

ラチを勇気ある少年に成長させた、らいおんと過ごした束の間の日々を描いたお話です。

 

感想(若干ネタバレ注意)

弱虫のお子さんにはちょっぴり勇気を与えてくれる絵本になるかも知れませんよ。なにせ冒頭でラチは『世界一の弱虫』と呼ばれています。(どんだけ弱虫なんだ。笑)そんな子が最後には勇気ある少年になれるのですから。

お話の内容は子どもにもわかりやすいです。読み物として起承転結があって楽しめると思います。

冒頭にいくつかの簡単な伏線が張ってあって物語を通して徐々に回収されていきます。その中で一つ、ラチは飛行士になるのが夢です、でも弱虫の飛行士なんているでしょうか?という疑問が提示されます。そして最後には勇気を獲得したラチはきっと飛行士になれるでしょうと評されます。ただ弱虫じゃいけないというだけじゃなくて、一歩引いて視野を広げた中で間接的に弱虫でいいの?考えさせるやり方は面白いと思います。そういう視点を与えるのもまた意味があると思います。

らいおんがラチにさせることのまず最初は体操です。体を鍛えるということの表現なのでしょうけど大人から見るとこれでいいのか?という印象はあります(笑)。でもここでのらいおんは可愛いし、体操が楽しそうで、これはこれでこどもにはアリですね。でもこの体操、毎朝続けるということになっています。やっぱり修行ではあるのです。

ラスト近く、ラチが(まさに漫画のように)ポロポロと涙を流すところがとても印象に残っています。少年が成長する話って私は弱いんですよ。読み終えた後には清々しさが残ります。ただ、小さい子向けですからね。全米が泣いた!(笑)みたいな感動作じゃありませんからあまり期待しすぎないでください。

話の筋は違いますが、ドラえもんの話の中でも屈指の名作『さよならドラえもん』を思い出しました。ラチとらいおんの関係はドラえもんとのび太の関係にもちょっと似ていますね。『さよならドラえもん』は『ラチとらいおん』よりもちょっと大きい子向けになりますが、精神の成長という意味でより深く感動的な内容になっています。機会があればご覧いただければと思います。(蛇足ですが『帰ってきたドラえもん』という話もあります。これは『さよならドラえもん』のラストの部分を書き換えたようなお話です。大筋は同じものです。)

絵も親しみやすい、漫画のようなタッチです。特にライオンはかわいいですよ。キャラクター商品もあるみたいです。

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