おはなをあげる


文 ジョナルノ・ローソン
絵 シドニー・スミス
発行 ポプラ社
初版 2016/4/
対象年齢 10歳から
文字の量 なし
ページ数 25
発行部数 不明
オススメ度 B

概要
女の子がお父さんに連れられて町を歩いていきます。

女の子は町の片隅にひっそり咲いている花達に気づきそれを集めていきます。

そして今度はその花を色んな動物や人にあげていくのです。

 

感想(若干ネタバレ注意)
ストーリーだけ聞いてもなんだかよくわからないと思います。この本は色が重要です。最初の内着色されているのは女の子のフードのついた赤いジャンパー(?)と道端の花だけです。町は人が多いけど活気はなくまるで時間が止まっているかのようで、人々の顔にも表情がありません。それが女の子が花を摘むたびに少しだけ町に色が現れます。そして女の子が花をあげ始めると町がさらに鮮やかな彩りに変わっていくのです。

文章はまったくありません。絵だけなので尚更色の変化にハッとします。月並みな表現ではありますが、大人が普段忘れがちでいて実はどこにも転がっている大小のディライトを思い出させてくれたように感じました。その面でとても優しい本という印象でした。この本の表紙に張ってあるステッカーに谷川俊太郎さんの言葉が書いてありますが見えるでしょうか。

この絵本そのものが、路傍の無口な花のようです

この本の事を一言で見事に表現されています。

ここまではこどもも感じ取ることができると思います。また大人にとってもいい作品だと思います。しかし、この本はそう単純でもないようです。お父さんは時々ケータイで電話をしたりしてて女の子と会話をしている様子はありません。家に帰った女の子はお母さんとハグしますが、その後すぐに一人で家を出てしまい、女の子の最後の表情は憂いをたたえているようにも見えます。読む人によって色んな読み取り方ができるかと思います。

もしかして女の子は大人になろうとしていてそれを恐れているのでしょうか。また私はこの女の子が天使なのではないかとふと思ったりもしました。人々を幸福に導こうとする存在というだけでなく、人間界の現実を冷静に俯瞰することができる存在として。

そしてそこからまた『ベルリン・天使の詩』という昔の映画を思い出しました。確かこの映画では天使の設定はまったく立場が逆のようだったと思います。下界を見下ろす天使たちはモノクロの世界に住んでいます。そして人間に恋したある一人の天使がいずれ死ぬことを受け入れて人間になります。すると世界は色づくのです。(うろ覚えなので間違いがあったらすみません。)これはいい映画でした。

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