たのしいふゆごもり


文 片山令子
絵 片山健
発行 福音館書店
初版 1991/10/25
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 36
発行部数 不明
オススメ度 A

たのしいふゆごもり のあらすじ・内容

森の大きな木の根元に子熊とお母さんの家があります。

家には大きなベッドと小さなベッドがあります。子熊はまだ一人で寝られないので小さなベッドはまだ使われません。子熊はお母さんにぬいぐるみを作ってくれるように頼みます。一人で眠れるように。

秋も深まってきました。お母さんは子熊を連れてお出かけします。冬ごもりの準備をしなければならないのです。

まずは木の実を拾います。リスの親子も来ていました。お母さんが木の実をたくさん集める横で、子熊はリスの子と木の実を集めたり遊んだりします。

次はハチミツを採ります。そこへおじいちゃんがやってきました。お母さんがたっぷりはちみつをとる横で、子熊はおじいちゃんと遊んだりはちみつをとったりしました。

次は魚とり。そこにはカエルの親子も来ていました。お母さんが大きな魚をいっぱいとる横で、子熊はカエルの子どもと小さな魚をとったり、池を作って遊んだりしました。

最後は綿摘み。そこにはヤマネの親子も来ていました。お母さんが綿をたくさん摘んでいる間、子熊はヤマネの子と綿摘みをしたり、綿で遊んだりしました。

帰る途中でキノコをとり、二匹は家に帰りました。子熊のお腹がぐーっと鳴りました。ご飯の用意をします。。

たのしいふゆごもり の解説・感想

前半は森で食材を調達

前半は冬ごもりの準備で森で食べ物などを集める作業です。ここでは豊かな秋の森の描写がとても美しいです。子熊はお母さんを手伝ったり出会った動物と遊んだり楽しい時間を過ごします。お母さんは大人の熊らしくダイナミックに食べ物を採っていきます。

後半はお家でくつろいで冬ごもりへ

後半はおウチに帰って、暖炉で料理を作り、ロウソクの灯りで食事をします。そして子熊が冬ごもりに入る時に自分のベッドで一人で眠れるようにお母さんはぬいぐるみを作ってやります。森で出会った、おじいちゃんとリスとカエルとヤマネのぬいぐるみ、4つもです。寒い外に比べて家の中は体も心もあったかです。絵に描いたような幸せな情景です。やがて外は雪が降り始めます。子熊はぬいぐるみと共に小さなベッドで眠るのです。

親子の会話がとてもいい

この絵本の一番の魅力は、子熊とお母さんの会話です。子どもらしく無邪気に話をする子熊。小さな子どもが本当に言いそうな素朴な話です。それに対して、お母さんが一つ一つ愛情をもって優しく応じていきます。こんなお母さんなら子熊はのびのびとしていられることでしょう。お母さんの温かさにほっこりさせられます。

優しくたくましいお母さん

森に入ってからの子熊はお手伝いもするのですが、木の実は色がキレイだけど食べられないものばかり。ハチに刺されてしまいはちみつはほんのちょっぴりしかとれません。魚は小さいの1匹だけ。綿は泥だらけ。でもお母さんはそれらを無駄にせずに、全部役立てるんです。ホント優しいお母さんです。

お母さんは優しいだけじゃないんです。ブンブン飛び回るハチなんてへっちゃらではちみつをとるし、大きい魚をガブリと咥えてとったりもします。美味しい料理を作り、ぬいぐるみまで作ります。食事の際には自然への感謝を忘れません。子熊は自分の事を「あたし」と言ってますから女の子なのでしょう。お母さんは子熊にとって憧れの存在でもあるんじゃないかな。

夜ふかしOKに子どもはワクワク

冬ごもりの準備が万端整ったところでお母さんが言います。「こんやは、ずーっと おきてても いいよ」大人にはなんてことないセリフですけど、読者のお子さんはワクワクするんじゃないかな。ウチは大晦日だけは夜ふかしOK。まあいつもよりちょっと遅い時間程度で眠くなっちゃうんだけど、でも子どもにとっては大イベントなんですよね。さて子熊はどうなったのかな?

素晴らしい絵

この絵本では大抵左ページに文章、右ページに絵、という構成になっています。しかし作中にセリフも文章もない見開き2ページに渡る大きな絵が2回出てきます。まず一つ目は冬ごもりの準備のために子熊とお母さんが森の奥へ入っていくところ。お天気がよく、樹々は黄色や赤に染まり、足元は落ち葉がおおっています。二人が吐く息が白くなっています。清々しく美しい自然が描かれます。二つ目は夜更けに雪が降り出してたので二人が玄関のドアを開けて外を見ているところ。真っ暗な森に大きな粒の雪が文字通り降りしきっています。外の寒さと相対的な家庭の温かさ、自然の厳かな雰囲気、そして本格的な冬の到来を感じさせてくれます。絵本の中に突然現れるセリフや文章のないページって、作者さん渾身のページであることが多いように感じます。この絵本も例外ではありません。とても雄弁なページです。読者の子どもがハッと目を引かれるような美しさあります。そして大人からすると、子熊がその時に何を感じているかが伝わってきて愛おしくなってきます。文章がないと読み聞かせる方はどうしても早くページをめくって次へと進みたい気持ちになってしまいますが、是非手を止めてお子さんと一緒にこの絵に見入ってください。

こどもにとってのこの世の幸せを集めてきたかのような豊かな作品世界にハマる子は相当にハマると思います。ミリオンぶっくに並ぶようなすごく売れた本ではないのですが、隠れた名作です。是非ご覧ください。

本書では、優しいお母さん熊と子熊の関係が描かれていますが、他にお父さん熊と子熊の関係を描いた絵本もあるんです。 → 『ねえとうさん』 こちらも名作です。是非ご覧になってみてください。

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