はなのすきなうし


文 マンロー・リーフ
絵 ロバート・ローソン
訳 光吉夏弥
発行 岩波書店
初版 1954/12/10
対象年齢 8歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 69
発行部数 不明
オススメ度 B

はなのすきなうし のあらすじ・内容

スペインにフェルジナンドという仔牛がいました。他の仔牛のように跳ね回って遊んだりせずにいつも一人で花の匂いを嗅いで静かに過ごしていました。

やがて時は過ぎ大きく成長したフェルジナンドはやはり一人花の匂いを嗅いでいました。ところがある日偶然による勘違いから闘牛にもってこいの猛牛と評価されて闘牛場へ連れて行かれることになってしまいます…

はなのすきなうし の解説・感想

人それぞれの個性を認めるという内容

人それぞれの個性を認めてあげる内容の優しいお話です。終始フェルジナンドの性格のようにゆったりとそしてユーモアを混じえて語られます。闘牛場に連れて行かれるという展開ですが残酷な場面はまったくありませんし悲しい顛末にはなりませんのでご安心ください。ラストもほのぼののんびりしています。

もののわかったおかあさん

フェルジナンドはこどもの頃からいつも木陰で一人花の匂いを嗅いで過ごしています。それが好きなのです。フェルジナンドのお母さんは一人で寂しくないかと心配で一度話しかけますが、寂しくはないのだとわかるとフェルジナンドの好きなようにさせます。優しく、また芯の強いお母さんです。日本だとあまりに子どもの自由にさせるのは『子どものために本当にそれでいいのか?』という疑問につながっていく可能性が十分ありますね。でもここではスペインというシエスタのお国柄のせいでしょうか、何とも大らかな考え方です。日本的価値観にもいい所悪い所あるでしょうし、スペイン的な価値観もまた然り。きっと子どもにとっては色んな価値観があることを知ってもらって、最終的に自分で選ぶ自由があるのがベストなんでしょう。ちなみに文章ではこのお母さんのことを

うしとはいうものの、もののわかったおかあさん

と表現されています。人生というものに対する確固たる信念が感じられ、示唆に富んだ素敵なそしてユーモアのある表現だと思います。

ユーモアのある絵がいい

カリカチュア的な絵がとても楽しいです。どの絵もどこか芝居がかっていてオーバーな位の表現なのです。猛牛(笑)フェルジナンドに立ち向かう闘牛士達のビビっている表情には笑えます。ついさっきまでカッコつけてたので尚更です。また、フェルジナンドが成長した姿を初めて見せるところや牧場へ帰るところ等は場面の切り替えや構図が映画的でユーモアがあって超うまいです。面白いなぁ。私はこの絵だけでもこの作品が好きになりました。大人が見ても楽しめますよ。

ページ数はありますけどページ辺りの文章は少ないのでその点は全然苦にならないと思います。ただ闘牛というものがわからないと面白みは半減するだろうと思って悩んだ末に『8歳から』にしてみました。闘牛がどんなものか説明してあげるならもっと小さい子でも十分楽しめるでしょうが、闘牛ってホントは結構残酷なものですから小さい子に説明するというのもなんかモヤモヤしてしまいますね。

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