こねこのぴっち


文 ハンス・フィッシャー
絵 同上
訳 石井桃子
発行 岩波書店
初版 1954/12/10
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 59
発行部数 不明
オススメ度 A

こねこのぴっち のあらすじ・内容

人間のおばあちゃんの家に住むぴっちは5人兄弟で一番小さい子猫です。他の子猫達が元気にいたずらをしたり遊びまわっていますが、ぴっちはそういう遊びが好きではありません。面白いことはないかと一人で家の外へ出ていきます。

おばあちゃんは猫の他にも色々動物を飼っています。裏庭にヒヨコがいたので、ぴっちはひよこと遊びたいと思いましたが、心配した雌鶏母さんがヒヨコ達を他のところを連れて行ってしまいました。雄鶏父さんもいました。その立派な様子を見てぴっちは雄鶏になりたいと思いました。二本足で歩いたり、餌をつついたり、コケコッコーと鳴けるようにもなりました。しかし鳴き声を雄鶏父さんと張り合っている内に、隣の家の雄鶏がやってきて雄鶏同士のケンカが始まりました。ぴっちはケンカするなら雄鶏なんて嫌だと逃げました。

次は原っぱでヤギを見つけました。ぴっちは今度はヤギになってみたいなと思いました。

ぴっちは色んな動物に出会います。ちょっぴり怖い目にも遭います。ほんの家の周りだけですが、小さなぴっちにとっての冒険のお話です。

こねこのぴっち の解説・感想(注:結末も若干ご紹介しています)

これはロングセラーになるわけですよ

1954が初版で未だに売れ続けているロングセラーです。なんと言っても主人公であるぴっちの愛らしさがこの絵本の一番の魅力でしょう。そしてお話はコミカルな場面あり、怖い場面あり、心配な場面あり、幸せな場面あり、と盛り沢山で起承転結もしっかりあって物語の面白さも楽しんでいただけると思います。

その後のお話は…

ぴっちは出会う動物達の真似をして遊びます。自分もその動物になりたいと思って真剣にやります。それがとても可愛いです。最初に鶏、次はヤギ、アヒル、ウサギと続きます。その後池に落ちてずぶ濡れになったり、怖い動物に襲われたりして、とうとう病気になってしまいます。

その後の後半は冒険ではなく、おばあさんや動物たちが病気になったぴっちを心配したり世話をしたり、少し良くなったところでお祝いの会を開いたりと、周りからの愛情と善意を一身に受ける様子が描かれ、何とも心が温まります。

ぴっちに子どもは共感するでしょう

ぴっちは読者の子どもの分身のようなもの。好奇心にまかせて遊び回り動物たちの真似をするところなんかはまんま人間の子どもみたい。病気になってみんなに心配されるところは子どもも同じような経験をしているでしょうから愛されているという事実とお家の安心感を再確認して共感することと思います。だいぶ体調が良くなってから食事をする時、まだ椅子にクッションをあててもらうぴっち。この時の文章がいいです。

まだすこし あまやかされて いたんですね。

ですって。くすぐったいような、あま~いような温かいような感じが子どもには心地よいのではないでしょうか。

プレ自分探しか?

『自分探し』という言葉はあまり好きではないのですが、ぴっちの冒険は自分探しとも言えるのかも知れません。兄弟達と興味の方向が違い、他の動物達に出会ってそれらになりたいと真似をする様子はそんな感じがします。ただ結局のところ、猫以外のものになるのはやめようと考え、ねずみとりごっこが好きになるのです。個性を尊重するお話になるのかと思いきや、そもそもまだ個性もはっきりしていないぴっちは猫らしさに立ち返ることになります。ぴっちはまだ小さい子どもであり人生はスタートしたばかり。今後もいろんな経験をしながら自分を形作っていくのでしょうね。

実は大型絵本の方がおすすめ

若干よくない点があります。見開きで絵がいっぱいに描かれて文章のないページが何ヶ所かあるのですが、その絵に対する文章がその前後のページにあります。そこまでは別にいいのですが、その文章のページには他の絵も書かれているので、文章が語っている情景がどの絵にあたるのか一瞬迷うことがあります。読み聞かせるのにちょっと不便です。その後横長の大型絵本も出版されているので気になる方は下記の大型絵本の方がいいでしょう。こちらにはそういう不具合はありませんでした。自然に読み聞かせできます。(ただお値段は倍ですが。)大型と言っても感覚的に一般的な絵本サイズの1.3倍程度ですが、絵を楽しむにも大きい方がいいですね。

ハンス・フィッシャーさんの絵はお洒落

ハンス・フィッシャーさんの絵は一見雑なように感じて今まであまり好きではなかったのですが、この本を見て、それは私が見る目がなかっただけだった事がわかりました。お洒落だし、活き活きとしてて動物たちの気持ちも伝わってくるようです。ぴっちにきつねとふくろうが迫るところだけはなかなか怖いですよ。

お話は3歳位でも十分楽しめる内容ですが、ページ数が結構ありますので一応4歳からにしました。でもこのお話を大好きになってくれるこどもなら3歳でもページ数は問題ではないかも知れませんね。

ぴっちのぬいぐるみ等、グッズも数多く出ているようです。可愛いですからね。

ハンス・フィッシャーさんの作品を他にもご紹介しています。 → 『たんじょうび』こちらはまだぴっちが生まれる直前の動物たちの物語です。

本書と同じような子どもの冒険を描いた絵本を他にもご紹介しています。→ タグ『冒険

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