おばけのブルブル


文 荒井良二
絵 同上
発行 講談社
初版 2004/7/31
対象年齢 3歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

おばけのブルブル のあらすじ・内容

おばけのブルブルはちょっと臆病で変身が苦手。

他のおばけ達は上手に人間に変身して、人間の街に遊びに行きました。

ブルブルが一人しょんぼりしているとそこに素直なおばけスナオナオがやってきて言いました。「あなたにも化けられるものがあるじゃないの。」ブルブルは促されてしぶしぶ変身しますが、なんとそれは絵筆。ブルブルは絵筆になって素敵な絵をたくさん書けるのです。

ブルブルとスナオナオは人間の世界に行って展覧会を開きます。それが大当たり。二人は毎日テレビに出たりサインをしたりで大忙しになります。

しかしあまりに忙しすぎて、二人は元の世界に帰りたくなってきます。

おばけのブルブル の解説・感想

遊び心のある楽しく優しい絵本

おばけのお話ですが全然怖くないですよ。その点は心配いりません。可愛くて不思議で楽しくて優しい、遊び心いっぱいのお話です。

大人が読んでも何ということはない話に見えるかも知れません。展開はスピーディーですが特にドラマチックでもなく終始フワフワした夢の中のような感じ。こどものような想像力と遊び心に任せて描かれたお話なのだと感じました。ブルブルとかスナオナオとかキャラの名前もいい意味でこどものセンスですよね。

絵本の中で人形劇を描くという入れ子構造

人形劇で演じられるという形でお話は語られます。なので最初は音楽が鳴って幕が開くところから始まります。この入れ子になっている構成は小さい子だとよく理解できない可能性もあるかも知れませんが、楽しい雰囲気さえ感じられれば問題無いでしょう。

人形劇ですから文中には音楽(例えば開幕時ではチャラスッテン タラリン チャラスッテン タラタラリンなんて音楽が)とか効果音とか多く、セリフも歌になってるところがあったりして、読む大人は結構大変(笑)でしょうが、こどもは楽しめると思います。そう言えば「!(エクスクラメーションマーク)」も文中に多かったですね。そこはテンション上げて読みましょう!

大人も癒やされる

ラスト辺り、ブルブルとスナオナオは夜の闇の中を手をつないで元の世界へと飛んでいきます。その時の会話が何とも言えないいい味わいで名場面でした。

ありがとう スナオナオ…… と ブルブルが いいます
ううん、たのしかったわねえ…… とスナオナオ
このままが いちばん いいね と ふたりは いいました

大人の私が癒やされてしまいました。

少し人間の世界への批判とも受け取れるような描写もありましたが、そこはまあ読み聞かせる大人が感じればいいでしょう。子どもただ不思議なお話とシチュエーションを楽しめばいいのかなと思いました。

おやすみ前の一冊としても

ラストは舞台の幕が閉じられて、『きょうは これで おやすみなさい…』となって終わります。就寝前の一冊としてもいいかも知れませんね。

荒井良二さんの絵は子どもの描いた絵のような自由さがありますね。すごくたくさんの色を使っているし、絵筆の他にボールペンや鉛筆で書いたように見えるところもあります。細部をよく見ると色んな発見があります。さらに見返しの部分なんかは金屏風に描かれた水墨画のような趣。その一方で操り人形の糸が描かれていたりして芸が細かいです。