かしこいモリー


文 ウォルター・デ・ラ・メア再話
絵 エロール・ル・カイン
訳 中川千尋
発行 ほるぷ出版
初版 2009/10/20
対象年齢 6歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

かしこいモリー のあらすじ・内容

貧しい木こりの家は子沢山で、木こりが一生懸命働いてもみんなをお腹いっぱいたべさせてあげることができませんでした。そしてある日一番末のモリーら三人の姉妹は木こりからパンを一切れづつもらい、森で薪を集めてくるように言われます。

三人は森で道に迷い、偶然見つけた家に助けを求めます。しかし出てきた女の人によるとこの家は人食い大男の家だったのです。しかしそれでも三人はもうクタクタでお腹も空いていたので、どうしてもと頼み込んで家に入れてもらいました。

やがて大男が帰ってきます。女の人は大男に、姉妹に構わずに用意したご飯を食べるように言いましたが、大男は舌なめずりしながら姉妹を見るのでした。

大男には三人の娘がいました。その晩、女の人の機転でモリー達は娘らと同じベットに寝かせてもらいます。そうすれば大男に食べられることはないだろうと考えたからです。しかし大男は寝る前に遊ぶふりをして、モリー達には藁の首飾りを、娘らには金の首飾りをかけておきました。

みんなが寝静まった頃、モリーだけは起きていました。そしてこっそり金の首飾りと藁の首代わりを付け替えました。深夜、大男がこっそりと近づいてきました。

モリーが知恵を使って大男をやり込め、幸せな生活をつかむお話です。

かしこいモリー の解説・感想

イギリスの昔話を再話したものだそうです。しっかりしたストーリーのあるお話です。内容もスリルのある場面、痛快な場面などあって映画のようで面白いです。

実はあらすじに書いた部分はまだ全体のお話の中でも発端の部分なんです。その後モリー達三姉妹は無事大男の手から逃れます。そして偶然たどり着いたお城の王様に大男の話をします。王様は大男の事を知っていました。そしてモリーが大男の持っている剣をお城へ持って帰ることができたなら、三人の王子の内一番上の王子を、モリーの一番上のお姉さんと結婚させようと持ちかけます。モリーはにっこり笑って「やってみましょう」と言います。やっとうまく逃げ出したのに、また危険な場所へ行くモリー。それも実は3回もなんです。しかも王様の持ちかける要求はだんだんと難易度が増していきます。剣の次は枕の下の金貨を、最後には大男がはめている指輪です。これはどう考えても難しいですよね。読者の子どもにとってはドキドキものでしょう。

大男の容貌はディズニーとかのアニメで出てくるようなイメージです。強そうだけど、大人から見るとちょっと頭悪そうにも見える。(寝る時にかぶってる帽子もなんかかわいい。笑)ホントに怖そうに描いたら読者の子どもがトラウマになるかも知れませんしね。でも小さい子どもからしたら体は大きいし目はつり上がってるし耳はとんがっているし牙もあるし、そもそも人を喰うというんですからやっぱり適度に怖く感じると思いますよ。だからこそドキドキの展開が楽しめるというものでしょう。

モリーが大男の家から持ち帰る品々ですが、内容からして恐らく過去に大男が王様から奪ったものではないかという気がします。しかしその事は文章上に何も触れられていません。説明は一言で済むんですからこれは書くべきだと思います。そうでないとモリーが単に泥棒をしているだけになってしまいかねないと思うのですが。

本書の絵を書いたエロール・ル・カインという人は幻想的な夜の情景がとてもうまい人で、夜の場面が多いこの作品にピッタリな感じがします。書き込まれた絵はどれも美しいです。前述した大男の帽子など、ちょっとユーモアを感るところもあります。ただ強いて言うなら王子たちが全然かっこよくないです(笑)。覇気がない優柔不断な優男みたいな感じ。それに比べたらモリーはボブの髪型で活動的な雰囲気。いつも飄々としていてかっこいいですね。最後のモリーの絵なんかお茶目で笑っちゃいます。美しいカラーの絵の他に、文章の下に小さな影絵が描かれています。カラーの絵に描かれていない部分をちょっと補足したりしています。大男がモリー達三姉妹と間違えて自分の子ども達をかかえているところとか。これが想像を掻き立てられるような効果があって面白いです。

モリーの知恵というのは、相手の意図を察してそれを逆手に取る感じです。要は裏をかくんですね。ウチの子どもは面白がって感心していましたが、大人から見ると、知恵に働き過ぎて小癪な感じがちょっとありますね(笑)。大男を小馬鹿にする発言は、相手が人を食べてしまう悪者とは言えちょっと気になります。あとお世話になった大男の奥さんや何の罪もない大男の子ども達までも策略に使ってひどい目に遭わせてしまうのは日本人の感覚からするとちょっと薄情な感じがしなくもないです。なんとなく大男とその家族がかわいそうに感じてしまう読者もいるのではないかと思います。

なんだか文句が多くなってしまいましたが、でもお話はやはり面白いですよ。楽しめると思います。

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