半日村


文 斎藤隆介
絵 滝平二郎
発行 岩崎書店
初版 1980/9/25
対象年齢 10歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

概要
半日村という名前の貧しい村がありました。大きな山を背負っているために日照時間が短く、それがために作物の生育が悪いので村の人達はみんなやせて青い顔をしていました。

村に一平というこどもがおりました。一平はある日両親の会話を耳にします。「山があるから悪いのだ。でもそれはどうしようもない話でありあきらめるしかない」と言うのです。しかし一平は次の日からその大きな山へ登り、土を袋に詰め、近くの湖に捨てるという行為を続けるようになります。当初笑っていた他のこども達も段々興味が湧いてきて一平と一緒にやるようになります。そしてまた笑っていた大人たちも段々と態度が変わっていきます。

そしてその行為は何年も何年も続いていきます。

 

感想
この本はタイトルから表紙の絵からとにかく暗いイメージなのでとっつきにくくて、今までなかなか手に取ることはありませんでした。斎藤隆介さんと滝平二郎さんの黄金コンビはいくつもの傑作を生み出していますが、この点だけは大体共通していて、損をしているように思います。何かの記事で本作品を評価しているのを見てようやく今回読ませていただきました。

序盤こそ当初のイメージ通り暗い話ではありますが、段々と元気が出てきて最終的にはハッピーエンドですからご安心ください。しかしそこまでは非常に長い年月がかかります。村人総出でかかっても、当初の大人たちは亡くなっていき、一平は大人になり、さらに一平の子どもの世代へと受け継がれていくのです。

最初に行動を起こす人間の勇気。(当初一平の行為は嘲笑の的になるのです。)地道な活動でも時間をかけて、みんなで協力すれば大きな事がなし得るという事。色んなものが描かれていますが、私はこの一平のあまりにも大胆な発想に惹かれました。「山が動かせるもんじゃねえ」と当初大人たちは言います。普通はそう考えますよ。そりゃまあずっとやってればいつかは動かせるんでしょうけど、実際にやろうとはさすがに思わないですよね。しかしそれが最後には…。やってみればなんだってできる。発想に限界をおかなければ人生はもっと楽しくなりそうな気がしてきます。

あとがきによるとこの作品は教科書にも載ったことがあるらしいですね。

対象年齢は『10歳から』としましたが、この本の内容は難しいものではないのでストーリーを追うだけならもっと小さい子でも全然問題ありません。ただ、この本から何かを得るということになりますとやはりある程度の年齢でないと難しいのかなと思いました。

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