たつのこたろう


文 松谷みよ子
絵 朝倉摂
発行 講談社
初版 2010/8/24
対象年齢 8歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 40
発行部数 不明
オススメ度 B

概要
ある貧しい村に『たつのこたろう』呼ばれる男の子がおばあさんと住んでいました。おばあさんはたろうに母親の事を話して聞かせます。

「たろうの母親はある事情から龍になってしまい、その後すぐにたろうを産んだ。今も遠い北の湖でお前を待っているかも知れない」

たろうは母親を探しに旅に出かけます。

 

感想
スケールが大きく、冒険のエピソードも数々あり、よくこのページ数に収めたものだと思います。展開はかなりスピーディーです。後でご説明しますが、本作は元々200ページ以上ある童話作品を絵本向けに凝縮したものです。なので端折りすぎているという面は否定できません。

作者が日本の民話を研究する過程で、長野県の『小泉小太郎』の伝説に出会い、それをベースにこの作品を作り上げたのだそうです。天狗や鬼、雪女、龍など昔話の常連キャラクター達が登場します。その一方で、母親が龍になった背景。そして貧しい村の様子。そうした描写がお話をより深いものにしています。

たろうは道中で度々その心根の優しさを見せます。そしてさらに世の中のいろんな事を知ったたろうは貧しい人達の役に立ちたいと考えるようになっていきます。この辺りが、本作が単なる冒険物にとどまらない所です。ストーリーはそう難しくはないので8歳よりももっと年下でも理解できるかも知れませんが、この部分をこども達に少しでも心に留めてもらえた方がいいだろうと思って対象年齢を8歳からにしました。でも8歳でも難しいですかね。本の帯には『小学校中級から』と書いてありました。あとは親御さんの判断で一番良さそうな時期を選んでもらえればと思います。

美しく、幻想的な絵も素晴らしいです。

初版が2010年となっていますがこれは新装版絵本の出版年です。元々の長く濃い方の童話作品が世に出たのは1960年で、松谷みよ子さんの代表的傑作と評されています。絵本版の本作をおすすめ度Aにしなかったのは、元の作品の方が紛れもなく傑作だからです。この絵本で興味を持ったら是非元々の童話を読むことをおすすめします。挿絵はわずかで絵本ではありませんがこちらも『小学校中級から』の対象になっています。

松谷みよ子さんは今年お亡くなりになったそうです。このような本を遺してくださったことに感謝するとともに、ご冥福をお祈りします。

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