文 富安陽子
絵 しらかたみお
発行 小学館
初版 2009/6/6
対象年齢 4歳から
文字の量 やや多め
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B
おむすびころりん のあらすじ・内容
薪をとりに出かけたおじいさんがお昼にしようとおむすびを取り出そうとしてうっかり落としてしまいます。おむすびはコロコロ転がって、地面にあいた小さな穴へコロン。
すると、穴の奥から不思議な歌が聞こえてきます。「おむすびころりん、すってんしゃん もひとつころがれ、ころりんしゃん」これを聞いたおじいさんは楽しくなって、おむすびを次々に穴へ落としていきます。
全部のおにぎりを落としてしまって「しまった!」と思ったところへ、穴から1匹のねずみが現れて、おにぎりのお礼をしたいから一緒に穴へきてくださいと言います。ねずみに連れられておじいさんは地中の御殿へ。
そこでおじいさんは歓迎され、沢山のおもちと大判小判をもらって家へ帰ります。その話を知った隣のよくばりじいさんは、おにぎりを作って穴のところに行きますが…
誰もが知ってる昔話です。
おむすびころりん の解説・感想
日本の昔話の中でも定番であり名作
数ある日本の昔話の中でも定番中の定番ではないでしょうか。楽しい歌に、二人の善悪対照的なおじいさん、そして宝物。昔話の必須アイテム勢揃いという感じです。
地面の穴から歌が聞こえてきて…その下にまったくの別世界があるという設定は、子どもはワクワクするよな~って思います。
お子さんに日本の昔話に親しんでもらうにはうってつけの作品でしょう。
なんと言ってもねずみの歌が楽しい
そして、このお話の一番面白いところは、ねずみ達の楽しい歌(掛け声?)です。おじいさんがこの歌を聞き、なんだか楽しくなっておにぎりを全部穴へ入れちゃったのもわかる気がします(笑)。上記の「おむすびころりん…」の他にも、もちつきの歌があって、これもまた楽しい。また相手が欲深いおじいさんの方だと歌詞が変わるのも面白いです。ねずみの歌の歌詞は絵本によって微妙に違いのあるところなんですが、私は本作の歌詞が好きですね。わかりやすいし、ねずみの気持ちが出ていて楽しいし、語感も気持ちよくて読者も歌いたくなる。ちっちゃい子はこの歌にハマると思います。親御さんにとっても楽しく読めて、読み聞かせ甲斐のある絵本だと思います。
欲深おじいさんといいおじいさんの対比
お話の後半は隣の欲深なおじいさんが登場して、ねずみ達の事も考えずに強引に宝物を手に入れようとするものですから、結局さんざんな目にあいます。日本の昔話によくあるパターンです。でも私思うんですけど、案外こういう昔話から日本的な価値観・人生観が綿々と引き継がれている面もあるのじゃないかなぁと。欲深な人間がどうなったか、そして大らかで明るく優しいおじいさんの人柄。心のどこかで感じてもらえたらと思います。
こんなラストだったっけ。まあさらっと終わっていますし、決して残酷とかじゃないのですが、大人から見ると、欲深なおじいさんとは言え、そんなに極悪なことをしたわけでもないので、ちょっとかわいそうな気が。
対象年齢は3歳位でもいいような気がするんですけど、この本はちょっと文が長い。それで4歳からにしました。おむすびころりんは、いくつもの本が出ていますからね。もうちょっと文章の短いものを選べば3歳でもいいかも知れません。私がこの本を選んだのは、上記に書いた通りねずみの歌が面白かったのと、お話のイメージ通りの楽しい雰囲気の絵が気に入ったからです。表紙を見ていただいてわかるように、優しくおおらかでかわいい笑顔のおじいさん像がいいんです。
本作は小学館の『日本名作おはなし絵本』シリーズの中の一作です。個人的に昔話全集みたいなシリーズ物はあんまり好きではないのですが、本作は例外。
私の好みで勝手に決めた(笑)三大傑作昔話。本作の他に『さんまいのおふだ』『かさじぞう』もご紹介しています。是非御覧ください。