おしいれのぼうけん


文 古田足日
絵 田畑精一
発行 童心社
初版 1974/11/
対象年齢 4歳から
文字の量 やや多め
ページ数 80
発行部数 207万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 A

おしいれのぼうけん のあらすじ・内容

保育園のお昼寝の時間。さとしとあきらは布団に入らずにミニカーの取り合いをして暴れていたため、水野先生に叱られ、罰として押入れの中に入れられます。押入れは保育園の子どもたちみんなが恐れる場所で、そこに入れられた子は泣き出して「ごめんなさい」と謝ることになるのです。しかしさとしとあきらは戸に開いた穴から外の様子を覗いたり、戸を足で蹴りつけたりして、なかなか謝りません。水野先生はどうしたら二人が謝るかを一所懸命考え始めます。そんな騒動にとても寝付けない他の子どもたちは「さとしくんとあきらくん、えらいな」と思い始めます。

そんな中、押入れの中にコワ~イねずみばあさんが現れて、二人に襲いかかります。押し入れは異世界への入り口だったのです。二人は異世界の中で次々に襲い来るねずみばあさんとその手下達から逃げようと協力しあいますが…

おしいれのぼうけん の解説・感想

80ページもあって字も多いので、途中で飽きるかと思ったら、子どもは最後まで黙って本気で見入ってました。

前半は二人の子どもが押入れに入れられるまでの経緯と、水野先生と二人の間の面白い攻防。”先生の言うことをきかない”という子どもにとって非日常のお話が興味をそそると思います。また、押し入れに閉じ込めて反省を促すという方法がうまくいかない状況を通して、単純に道徳や善悪で割り切れない色んな人たちの思いや感情が描かれていて奥行きがあります。さとしは「(押入れの)外で考えるよ」という自分の言葉を無視した先生に腹を立て、水野先生はどうしたら二人が反省してくれるか悩み、年配の木村先生はそれらを優しく見守り、他の子ども達は押入れの刑に屈しない二人をちょっぴり見直したりします。とても立体的に描かれているのです。

後半は一転して、異世界でのドキドキの冒険物語。さとしはどちらかと言うと負けん気の強い方、あきらはどちらかと言うと気の弱い方で、当初はあきらがさとしに引っ張られる感じなのですが、冒険を通して文字通り協力し支え合うようになっていきます。

友情や笑いもあり、次々に色んなことが起きるので、飽きる暇がありません。主要な登場人物のキャラクターもしっかり描かれていて説得力があります。絵本ではありますが児童文学寄りの密度です。私は今回初めて読みましたが、もし子供の頃に読んでいたら完全にハマっただろうなぁと思います。

絵もいいですよ。子ども達の表情がイキイキと描かれています。ほとんどが鉛筆のモノクロ画で、時折カラーの印象的な絵が混じります。

同じ作者の絵本『ダンプえんちょうやっつけた』も最高に面白いです。

同じような展開(叱られて閉じ込められたところで冒険が始まる)の話に「かいじゅうたちのいるところ」があります。こちらは海外作品で、だいぶ毛色が違いますが、見比べてみてもいいかも。

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