ことりをすきになった山


文 アリス・マクレーラン
絵 エリック・カール
訳 ゆあさふみえ
発行 偕成社
初版 1987/10/
対象年齢 10歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 24
発行部数 不明
オススメ度 B

ことりをすきになった山 のあらすじ・内容

草木一本も生えていない岩山がありました。山が見るのは太陽と雨と雪、そして雲と月と星だけ。

ある年に小鳥がこの山へやってきました。旅の途中で休憩のために立ち寄っただけだったのですが、初めて生き物と触れ合った山は小鳥が気に入り、ずっとここにいて欲しいと頼みます。しかし小鳥は何もない山では暮らしていくことができません。同情した小鳥は、山に住む代わりに自分の子孫代々が年一度春にこの山を訪れるようにすることを約束します。

そして百年後、約束通り今年もやってきた小鳥に対しずっとここに住んで欲しいとまたも山は頼みますが断られ、涙の川ができます。

その次の年にまたやってきた小鳥はその川の近くにタネを落としていきます。その次の年もそのまた次の年もタネを落としていきます。

やがてタネが大きな木に育ち、悲しみのあまりひび割れていた山の心臓にまで根が達し、その傷を塞いでしまいました。痛みが消えた山がふと気付くと周りに緑が茂り始めているではありませんか。そこから山の涙は幸せの涙に変わります。

その後も毎年小鳥はタネを落とし続けましたが、ある年、小鳥は別のものを持ってきました。

ことりをすきになった山 の解説・感想(ややネタバレ注意)

作者のアリス・マクレーランさんは文化人類学者です。作者のこの言葉が作品の魅力を伝えてくれます。

永い年月がもたらす変化のすごさとか、ひとつの命に託された何かが時間をこえてうけつがれていくすばらしさに魅せられて、一人類学者としての夢を描いてみました。

山の願いは最後の最後に叶えられます。小鳥が持ってきたものとは何なのか?。それは本を手にとって確かめてください。

最後に山が望みを叶えるまでは相当の年月がかかります。非常に時間軸のスケールが大きいお話です。長い時間が持つ大きな力を感じさせてくれます。そして生き物はそんなに長くは生きることができません。でも代々受け継いでいくことによって、長きにわたる継続を実現できます。そんな事をこどもが少しでも感じてくれたらと思います。でも登場するのは山と小鳥だけで、決して身近な話ではなく親しみやすさには欠けますから、小さい子には面白さがわかりにくいかも。ページ数は少ないですが文章は少し多めです。それで一応10歳からとしてみました。

日々汲々としている私達の生活も、実は大きくてゆっくりとしてそれでいて着実な力強い世界の変化の中にあるはずです。長い時間軸で物事を見ることは、自分が実はどこに向かっていたのかを確認するよい機会になるかも知れません。こどもにはそんな視点も身につけてほしいなと思います。

この本のテーマは『半日村』という作品にも近いものがありますね。よかったらこちらもご覧ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。