おじいちゃんがおばけになったわけ


文 キム・フォップス・オーカソン
絵 エヴァ・エリクソン
訳 菱木晃子
発行 あすなろ書房
初版 2005/6/
対象年齢 4歳から
文字の量 やや多め
ページ数 29
発行部数 不明
オススメ度 A

 

概要
男の子エリックのおじいちゃんが亡くなりました。お母さんは「天使になるのよ」と、お父さんは「土になる」と言いますが、ピンときません。

そんなある晩、おじいちゃんがおばけとなってエリックの前に現れます。おじいちゃん自身にも事情がよくわかりません。エリックとおじいちゃんでおばけについて調べてみると、どうやらこの世に忘れ物をしたためにおばけとなって戻ってきたようなのです。

一緒に忘れ物を探そうとするエリック。さて二人は忘れ物をみつけることができるでしょうか。そして忘れ物とはいったい何なのでしょうか。

身近な人の死と別れ。子どもにはなかなか難しいであろうテーマを、奇抜なストーリーにユーモアと涙も交えて優しく語ります。

 

感想
忘れ物を探す過程で、おじいちゃんの家を二人で捜索します。そこには思い出の写真がたくさんありました。おじいちゃんはそこで自分の人生を振り返ります。子どもはおじいちゃんにも若い時があったことなどなかなか想像できないかも知れません。大人だって普段は忘れてしまっているでしょう。それを知ることは、自分がいつかおじいちゃんかおばあちゃんになるんだという発見も意味します。そして自分たちの人生が大きな歴史の流れの中のほんの1ページであるという視点につながるかも知れません。また他人には自分の知り得ない事情や気持ちがあることを知ることになるかも知れません。こどもには色んな刺激になると思うんですよね。こどもに自分の昔の写真を見せてあげるのもいいかもね、なんて思いました。

終盤に、今度はエリックがおじいちゃんと過ごした楽しい日々を回想します。大人はここでちょっと胸がつまってしまうかも知れません。

さて問題の忘れ物ですが、おじいちゃんは最初忘れ物がなんだったのかどうしても思い出せません。でもエリックと一緒に探していくうちに、ようやく思い出します。ホントにささいな忘れ物でした。でもこの忘れ物をおじいちゃんと一緒に探しだした経験は、エリックの心にとても大切なものを残してくれたのだろうなと思って、私は目に水が溜まりそうでした。優しいお話ですねぇ。

そしてラスト。他のページよりも小さく描かれた最後のさりげないページは、色んな思いを含んで、温かく、またさわやかな余韻を残します。エリックも一つ大人になったのでしょう。

色鉛筆かな…丁寧に書かれた絵は、このお話にピッタリです。

映画やドラマになってもおかしくない話だなと思いますし、ところどころに含まれるユーモアもなんとなく洋画的だなって思いました。作者は映画の脚本家としても活躍されているのだそうですね。

コメントは受け付けていません。