せかいでいちばんつよい国


文 デビッド・マッキー
絵 同上
訳 なかがわちひろ
発行 光村教育図書
初版 2005/4/25
対象年齢 10歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 30
発行部数 不明
オススメ度 B

せかいでいちばんつよい国 のあらすじ・内容

昔、大きく強大な戦力を持つ国がありました。この国の人々は「もっとも素敵な暮らしができるのが我が国だ」と自負していました。大統領は「世界中を征服すればすべての人が我が国と同じように素敵な暮らしができる」という建前の元に、他の国々に戦争を仕掛けていきました。他の国々は必死で戦いましたが、最後には負けてしまい征服されました。

そしてとうとう残るはほんの小さな一国のみ。この国に進撃してみるとなんと軍隊を持たない国でした。なので戦争のしようがありません。小さな国の人達は兵隊さん達をお客さんのように歓迎します。兵隊たちは家々に泊めてもらうことになりました。そして遊びを教えてもらったり、歌を習ったり、仕事を手伝ったりしました。

大統領は兵隊たちがたるんでいると憤慨しましたが、最終的にはこの小さな国に大勢の兵隊は必要なかったのだと判断し、何人かの見張りを残して故郷の国へ帰りました。しばらくするとこの故郷の国に何か変化が感じられるようになりました。そして王様自身にさえも。

せかいでいちばんつよい国 の解説・感想

戦争の馬鹿らしさを風刺し、豊かな暮らしについて考えさせられる作品

戦争の悲惨さを伝えるというよりも、いかに馬鹿げたものかを風刺で表現しているようなお話です。また。豊かな暮らしとは何かを考えさせられます。

アニメの名作『未来少年コナン』を思い出しました。平和な農村に進撃した管理社会出身の兵士たちがやがて村の一員として人間らしい暮らしを取り戻していくという場面があります。これが非常に痛快です。同じような痛快さがこの絵本にはあります。

子どもには難しい面もあるかも知れないけど

人間らしい生活ってどんなもの?。人生を楽しむために大切なことって何?。そんな大上段に構えると子どもには難しいかも知れませんが、いい人生観を持ってもらいたいという意味でこの本から何かしら影響を受けてもらえればと思います。(まだちょっと年齢的に早過ぎるのでもう数年したら見せるつもりです。)

小国こそがつよい国なのか

『せかいでいちばんつよい国』はこの小国だったのだ、という見方もあろうかと思います。でもわずかに違和感を感じてしまいます。強い弱いという尺度自体がそぐわない気がします。そうでないとこの小国は文化的な侵略の力を持っているという見方もできるようにならないでしょうか。そして大統領の国にも色んな人がいるという視点に欠けているのではないでしょうか。

元々米国政権への抗議のために作られた

現実の世界ではこの小国のようにうまくはいかず、新疆ウイグル自治区のように力によって押さえつけられようとしているところもあります。どこぞの国の政権にはぜひともこの絵本を読んで考えてもらいたいと思います。因みに訳者のなかがわちひろさんのサイトを見ると、この絵本の原書が出版されたのが2004年で、当時の米国ブッシュ政権の中東政策に抗議をするために作ったのだと作者のデビッド・マッキーさんがおっしゃっていたそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。