モチモチの木


文 斎藤隆介
絵 滝平二郎
発行 岩崎書店
初版 1971/11/
対象年齢 4歳から
文字の量 やや多め
ページ数 31
発行部数 139万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 B

 

概要
峠の猟師小屋におじいさんと二人で暮らしている5つの豆太。臆病で、小屋のそばのモチモチの木が怖くて夜中に一人でトイレに行けず、毎度おじいさんを起こしています。

今夜はモチモチの木に火が灯る特別な晩だとおじいさんは言いますが、それは勇気のある子どもしか見られないらしいのです。

その夜、おじいさんは急に腹痛で苦しみだします。豆太はどうするでしょうか…

勇気とは何かを問いかける、男の子のちょっとした冒険のお話です。

感想
私の子供の頃に図書館にこの本があったことを覚えています。でも表紙の絵が怖くて、一度も手にとることなく今に至ってしまいました。受け取りようによっては、怖いような気がしませんか?色もダークだし、絶対読むと落ち込んでくるようなくら~い話でしょって思いますよね?(笑)。もしかしたら私と同じような印象を持つ子もいるかも知れませんね。でもお話はそんなに怖いものでもなければ(感受性の強い子には夜のシーンはちょっと怖いかな。笑)、落ち込むような話でもありませんので、その点はご心配なく。むしろ勇気をもらう話なのです。

今回読んでみて、力強くキリリとして、またどこか懐かしさもあるこの切り絵というものを、遅まきながら再認識した次第です。切り絵ってこんな表現ができるものなんですね。特に表紙にも出てくるおじいさんの表情がいいのです。この大人の表情を見てみてください。美しいです。あと、モチモチの木をバックに峠に雪が降っているところ。キレイだったなぁ。他にも印象的なページがいくつもあります。滝平二郎さんの切り絵の魅力はこどもの頃にはわからなかったけど、今見るとなんだ!この完成度は!と驚くばかりです。

お話の方は、私のような臆病ものこそ小さい時に読んでおくべきであったと後悔しました。小さな豆太の頑張りに、怖がりの子どももちょっぴり背中を押されるかも知れません。

代表的な成熟した大人であるおじいさんとこれまた代表的なひ弱なこどもである豆太が好対照に描かれています。それがこのお話に強い説得力とリアリティを与えている気がします。陰と陽、善と悪みたいな海外の古典に出てきそうな対比の妙を感じます。

田舎の猟師小屋が舞台ということで、野卑な言葉遣いが多いのですが、そこがまたいい味ですし、リアリティもあります。子どもも普段聞き慣れない言葉に興味を示すかも。

最後のページのおじいさんの人生経験からくる言葉は、なるほどなぁって思いました。

斎藤隆介さんの作品は内容が奥深いものが多いです。そしてそこに滝平二郎さんの絵が加わるとさらに迫力と厚みが加わります。すごいコンビです。他にも同じ斎藤隆介さんと滝平二郎さんの作品を紹介しています。『滝平二郎』のタグからどうぞ。

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