花さき山


文 斎藤隆介
絵 滝平二郎
発行 岩崎書店
初版 1969/12/
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 33
発行部数 114万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 A

花さき山 のあらすじ・内容

お祭りのために山菜をとりに山へ出かけた10歳のあやは山ンばに出会います。

不思議な話を山ンばは聞かせます。「この山の花は村の人が優しいことをするたびに咲くのだ」

そしてそこには、あやが昨日咲かせた花も…。お祭りのために着物を買って欲しいと母親に駄々をこねる妹のために、あやは自分の着物はいいから妹に買ってあげて欲しいと申し出ました。貧しい家なので母親は助かっただろう、妹は嬉しかっただろう、そしてあやは切なかっただろう。そういう背景でこのきれいな花が咲いたのです。

そのそばには小さな青い花が開こうとしています。これは双子の赤ん坊の上の子が今咲かせようとしているのです。

人知れず他者のために自分を犠牲にする人を、優しく見守るような、そんなお話です。

花さき山 の解説・感想

この絵本の描く世界はある意味ド演歌だと思います。日本人らしい、日本人の心の琴線に触れるようなお話でした。ちょっとウルッときてしまいました。静かに、心の中に温かなものが満たされるような読後感です。この本がずっとこの先も読み継がれて行くといいな、と思います。

説得力のある文章です。信念にもとづいて書かれているのだろうという気がしてきます。斎藤隆介さんのあとがきによれば「きれいな花が咲くということの根源、山が高くそびえるということの根源は何かということの自分なりの答えがこれだ」というのが本作なのだそうです。またこうも言っています。

みんなの中でこそ、みんなとのつながりを考えてこそ、自分が自分だと知ったことです。

他者を活かすことで自分が活きるということでしょう。この人生観がこの本の骨格になっています。

滝平二郎さんの切り絵も素晴らしいです。特に黒い背景の心象風景のページは印象的なものが多かったです。それが独特の語り口の文章と組み合わさって、ジーンとさせるんですね、これが。

ウチは4歳の子に読んであげましたが、あまりピンと来なかったようです(笑)。まずすべての言葉が方言で書かれているので何を言っているのかナチュラルに入りにくいところも若干あって、それが気になって没入できないという面はあるかも知れません。そういう意味では(リアルタイム性の高い)読み聞かせよりも自分で読んだ方がいいのかなという気もします。自分で読むなら対象年齢は『小学生になってから』でしょう。

あと、途中でこの作者の他の絵本作品(具体的には『八郎』と『三コ』)のエピソードが少し挿入されます。この辺りはその作品を読んでいない子どもにとっては唐突で感情移入しにくい気がします。何となく雰囲気でわかってもらえるかどうか…。『花』と『山』という大きく2つの対象の内、『山』に関してここで語られるのですが、『花』ほどの納得感はありませんでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。