ねずみくんのチョッキ


文 なかえよしを
絵 上野紀子
発行 ポプラ社
初版 1974/8/
対象年齢 2歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 32
発行部数 103万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 B

ねずみくんのチョッキ のあらすじ・内容

お母さんが編んでくれた赤いチョッキ(今ならベストという方がわかりやすいかも)。ねずみくんにとっても似合います。

それを見たアヒルさんが「ちょっと僕にも着させて」。さらにそのアヒルさんを見たお猿さんが「ちょっと僕にも着させて」。ねずみくんの体にピッタリだったチョッキは自分より大きい動物が次々に着ていくものですからだんだん伸びていきますが…

ねずみくんのチョッキ の解説・感想(注意:ラストもご紹介しています)

単純な繰り返しが小さい子には嬉しい

お話はとっても単純な繰り返し。次々に現れる動物たちが、かわるがわるねずみくんのチョッキを着ていきます。ストーリーというほどのストーリーはありません。小さい子でもわかりやすいです。

左のページに絵が、右のページに文章があるスタイルで、文章は動物たちのほんの短いセリフの繰り返しのみで、動物は違ってもセリフはみんな同じなんです。これなら、小さい子どもも馴染みやすいし、文字が読めなくても覚えちゃうかも知れません。そしてこの繰り返しが小さい子にウケるんですよね。2歳位の子どもにちょうどいいですね。

動物も色々出てくる

おなじみの動物が何種類も出てきます。動物の名前は書いてありませんが、アヒル、サル、アシカ、ライオン、ウマ、ゾウだろうと思います。次々動物が出てくるだけでも子どもは楽しいと思いますが、動物に合わせて読み聞かせる声を変えてみたり、ちょっとセリフの調子を変えてみたりするとまたさらに面白そうですね。

動物たちは順にだんだん体のサイズが大きくなっていきます。ねずみくんのチョッキをゾウが着れると思います?それが強引に着ちゃうんです。ねずみくんは最初にアヒルにチョッキを貸した後は最後にゾウが着るまでは出てきません。動物相互の又貸し状態なんですね。そしてゾウが着たところで初めてチョッキの状況を把握して驚くことになります。

動物たちの様子が可笑しい

ウチの子どもには4歳で読み聞かせましたが、大ウケでした。まずはチョッキを着た時の動物たちのはにかんだ表情。これが笑ってるとか泣いてるとかそういう単純な感情の表出ではなくて、お洒落して誇らしいような面映いような、似合ってるかどうかドキドキするような、チョッキが小さくてきついなあというような、色んな微妙な気持ちが混じり合った結果として表れていて可笑しいんです。それと小さなチョッキを無理矢理に着込んでいる姿が面白かったようです。どの動物も必ず「すこしきついがにあうかな?」とポーズをとるのですが、現実的にはお世辞にも似合ってるとは…(笑)。2歳よりも大きい子でもそれなりの楽しみ方はありますよ。

でもこの展開はちょっと酷じゃない?

(ネタバレ注意)お話の最後をご紹介していますので、知りたくない方はここ読まないでください。それにしても、お話の展開はねずみくんにはあまりに酷なのです。最後はねずみくんの体よりも遥かに大きくなってしまった伸び伸びのチョッキを着て涙をこぼしてうなだれています。もう着るというよりもはや体にひっかかっているだけで、背後でズルズルと引きずっています。ところがところが、こんな悲しい結末かと思いきや最後の最後のページに文章もない小さな絵があってちょっぴりハッピーな出来事が描かれます。ゾウの鼻にチョッキを引っ掛けてそれをブランコにしてねずみくんが遊んでいるんです。これにはホッとしました。いいアイデアです。少し救いになりました。しかしこれがなくてお話が終わったならあまりに悲しいですね。この点に関しては親御さんの視点だとねずみくんのお母さんの気持ちも察せられて、いかがなものかと感じる方もおられるかも知れないですね。読者の子どももねずみくんがかわいそうだと感じる子もいるでしょう。それはそれで感想としていいのだと思いますが、その場合この絵本を何度も読みかえすことにはならないでしょうね。

絵はシンプルだけど小さい子向けに工夫されてる

絵は赤いチョッキ以外はモノクロになっています。赤いチョッキがはっきりわかるようになっています、そしてすべての絵が緑色の枠で囲まれています。表紙を見てわかる通り、最初はページの下の方に小さなねずみくんがポツンというだけの絵。ページの視点は最後まで定点観測のカメラのようにずっと同じです。背景も何もありません。なんだか一種の舞台を見ているかのようにも感じます。でもだんだん出てくる動物が大きくなっていくに連れ、ページに占める動物の絵の割合が広がっていき、動物の大きさの違いが感じられるようになっています。チョッキを着る動物がだんだん大きくなっていくところがこの本の大事なところですからそれが小さい子にもわかりやすくなっているんですね。最後のゾウなんか大きくて、絵の枠からちょっとはみ出しちゃうところも面白いです。

ちょっとした遊び心も

表紙ではなくて、表紙をめくった後に出てくる『ねずみくんのチョッキ』というタイトル。ここにちょっとしたイタズラが。『チ』という文字に赤いチョッキが着せてあるんです。みんな気づくかな。

本作から始まって長いシリーズになっています

ねずみくんのお話はとても長いシリーズになっていて、本作はその第一作になります。人気があるからこそのシリーズ化でしょう。2歳位のこどもにピッタリの本ってそんなに多くない気がします。貴重な傑作です。

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