チロヌップのきつね


文 たかはしひろゆき
絵 同上
発行 金の星社
初版 1972/8/
対象年齢 6歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 48
発行部数 不明
オススメ度 A

概要
戦争が激しくなってきた頃、チロヌップという北の島に4匹の狐の家族が仲良く暮らしていました。

その島には毎年春になるとおじいさんとおばあさんが魚を捕るためにやってきます。末の牝狐のちびこは、ひょんな事からこの二人と出会い、懐いていきます。

そんな平和な島にも戦争の影が近づいてきます。度々兵隊がこの島にやってくるようになったのです…

 

感想
この作品は私も正直言って涙がたまりそうになってしまいました。下世話な言い方をしてしまうとこれは『泣ける話』です。狐の家族には悲劇が待っています。せつないです。悲しいです。でもその悲しさを北の大自然が優しく包み込んで、少し和らげてくれたような気がします。美しい絵がそして文章が私も実際に見たことのないその北の大自然の輝きを教えてくれます。

ウチの6歳のこどもに読んであげましたが、悲しい内容の絵本は今まであんまりみせてなかったので、このような終わり方の話をどう捉えたらいいのか迷っていた感じがします。でもその後一人で何度か読み返していたみたいです。で、その後この本が好きだと言ってくれました。こどもにも読んで欲しいいい本ですが、多分むしろグッと来てしまうのは読み聞かせる側の親御さんの方だろうと思います。親になった立場で読むとこれは効きます。

狐の両親の人間と何ら変わることのない深い愛情、美しい自然とそこで育まれる命のきらめきと儚さ、理不尽に幸せを奪っていく暴力がこの世にあるということ、そういうものが描かれているお話です。

戦争そのものついてはほとんど説明されていません。戦争の象徴として兵隊さんが現れる程度です。でもそれまで平和で美しいお話だったのがこの兵隊さんの登場辺りから急激に暗転していきます。戦争が平和に対する脅威であること、そういうものがこの世の中には存在するということは何となくこどもに伝わるかと思います。

昔にアニメ化されたようで、youtubeにもアップされていました。興味ある方は検索してみてください。

ページあたりの文章量はそんなに多くはありませんが、48ページもありますし、対象年齢を6歳からとしました。狐は言葉を話しませんので狐の両親の行動の背景にある愛情や考えがわからないこどももいるかと思います。でもここがとっても大事なところなんですよね。私は自分のこどもには補足説明をしてあげました。その点を考えると慌てて6歳で読んであげなくてももっと後でもいいのかなと思います。因みに上記のアニメーションは演出上、狐が言葉を話しています。なので絵本よりもわかりやすいかと思います。

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