ひみつのカレーライス


文 井上荒野
絵 田中清代
発行 アリス館
初版 2009/4/1
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

概要
フミオの家は今日はカレーライス。フミオはもちろんお父さんもお母さんもカレーライスが好きです。

カレーライスを食べていると、フミオの口の中に固くて黒いつぶが一つ残りました。心当たりのあるお父さんが書物で調べてみると、これがなんとカレーライスの種。その種を庭に埋めて育ててみることにしますが…

 

感想
直木賞作家の井上荒野さん初の絵本作品です。奇想天外なストーリーの中に細かいところでユーモアが散りばめられていて、こどもも私も楽しめました。こどもの幼稚園にもこの絵本、置いてあったみたいです。幼稚園に置いてあるということはもう既に優良な作品であるという証明のようなものです。

カレーライスが木の実になれば好きなだけ食べられそうですよね(笑)。多くのこどもはカレーライス大好きですから、これはこどもにとって夢のようなストーリーです。面白くないわけがないです。しかも読後は思わずカレーライスが食べたくなってしまうかも。

このカレーライスの種、ただ埋めて水をやるだけじゃダメなんです。色々と手をかけてやらなくちゃいけないのです。中にはなんでこんな事まで?と笑っちゃうようなのもあります。例えば妙な呪文を唱えながら踊りを踊らないと芽が出ないのです。井上荒野さんの遊び心がいいなあ。フミオ達家族の苦闘ぶり(?)が楽しいです。

これは大人にしかわからないと思いますが、お父さんとお母さんのキャラクターがまた絶妙です。二人共着物姿で古風な感じ。古き良き昭和の家族の雰囲気です。お父さんは何事にも一生懸命な頑固そうなお父さん。天然っぽくて控えめだけど日々を楽しむ才に長けたお母さん。どちらも自らの信条に基づいて真面目に生きているのですが、外側から見るとなにか可愛らしくて微笑ましいのです。これは絵を書かれた田中清代さんのセンスが大きく影響しているのかも知れません。田中さんに絵を依頼したのは井上さんなのか出版社なのかわかりませんが、本当に作品の雰囲気にマッチしていてグッジョブだと思います。

カレーライスは一体どんな形で実を結ぶのでしょうか。それは絵本を見てのお楽しみ。葉が出て、花が咲いて、実がなってとそれぞれの段階で、不思議でユーモアがあってワクワク感たっぷりに魅せてくれます。

ラストのオチも楽しい雰囲気を閉じてしまわずに余韻を持って終わる感じがいいですね。

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