雪の写真家ベントレー


文 ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン
絵 メアリー・アゼアリアン
訳 千葉茂樹
初版 1999/12/23
対象年齢 10歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

概要
ある農村にウィリーという少年がいました。ウィリーは雪が好きでした。他のこども達が雪合戦をして遊んでいる時に、ウィリーは母親からもらった古い顕微鏡を使って美しい雪の結晶を観察していました。そして雪の結晶は一つとして同じものがないことを知ります。

17歳の時に両親から顕微鏡付きのカメラを買ってもらいます。当時乳牛10頭よりも高いとても高価なカメラです。それからウィリーは雪の日には雪の結晶を撮影し続けました。今は誰も評価しないがいつか世界中の人々が喜んで自分の写真を見てくれる日がくるということを信じていました。

一農夫でありながら、生涯に渡って雪の結晶を撮り続け、雪の研究をし続けたW.A.ベントレーの伝記です。

 

感想
何となく日本の牧野富太郎を思い起こします。ベントレーも学歴がほとんどなく、好きな雪に没頭し、経済的な面を顧みない人だったようです。それほど純粋に打ち込める人だからこそ、成し遂げられるものなのかも知れません。

日本の雪研究の権威、中谷宇吉郎もベントレーの写真集を見て感激し、雪の研究に携わったのだそうです。ベントレーの残したものは、アメリカの片田舎から世界へと拡がっていきました。誰にも認められない時期にも信じていた上記の「いつか世界中の人々が…」の通りになったのですね。

それにしても、ベントレーのご両親はとても大らかで優しい人ではないでしょうか。ベントレーが認められたのは晩年のことです。それまでは周囲からはただの道楽にしか見えなかったでしょう。その道楽のために高価なカメラを買い与えたのですから。お母さんは学校にほとんど行かなかったベントレーに勉強を教えてもいたようです。重要なキッカケとなった顕微鏡もお母さんからもらったものです。

この本の絵はすべて版画です。温かみがあります。ベントレーの生涯から感じられる温かみと共通のものを感じます。特に表紙にもなっている、雪の写真を撮るベントレーの後ろ姿の版画はいいです。

この作品は1999年にコールデコット賞を受けています。

ベントレーが撮った雪の結晶の写真は、巻末に3つだけ掲載されています。もっと紹介してくれればいいのにとも思いますが、興味を持った人にはベントレーの写真集を見てもらった方がよりいいのでしょう。

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