まちんと


文 松谷みよ子
絵 司修
発行 偕成社
初版 1983/8/
対象年齢 6歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

 

概要
もうすぐ3歳になる女の子が広島に住んでいました。

昭和二十年八月六日、原子爆弾が落ちます。

生き残った人々は焼けただれてさまよいます。

苦しんで寝かされている女の子に母親がトマトを与えます。もっと欲しがる女の子のために母親はトマトを探しに行きますが…

 

感想
胸が苦しくなるようなお話でした。文章はかなり少なめでほんの小さなエピソードです。でも心に残るものは大きいです。

こども向けということで考えて作られたのでしょう、絵は抽象的な描写で生々しさはあまりありません。が、現場は想像を絶する状況であったのだろうという事が伝わってくる迫力があります。作者は小学校1~3年生位に読み聞かせることを念頭に書かれたようです。

この話は松谷みよ子さんの創作ではなくて、どこかで語り継がれてきた話なのだそうです。文章もそのような語り口になっています。

「まちんと」というのは「もうちょっと」という意味の方言を小さいこどもが舌足らずな感じでしゃべったものです。女の子がトマトをもっと欲しがって言ったのです。

女の子は死んで鳥になります。「まちんと」と鳴きながら飛んでいるのだそうです。今も。この展開がお話にさらに奥行きを与え、メッセージ性を高めているように思います。

楽しい絵本ではありませんが、伝えていくべきものであると思います。

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