えんぴつびな


文 長崎源之助
絵 長谷川知子
発行 金の星社
初版 1984/2/
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

概要
私(女性)がこどもの頃に戦争がありました…

戦争で家が焼けたために引っ越してきた町の小学校でシンペイちゃんと出会います。シンペイちゃんは元気いっぱいのいたずらっこです。最初は泣かされたりもしましたが、本当は悪気はなく、慣れない土地へやってきた私を気遣ってくれる優しい子だということがだんだんとわかってきます。

ある日シンペイちゃんが、短くなった鉛筆に顔を書いて作った一対のお雛様をくれました。喜んだ私にシンペイちゃんは三人官女も作ってくれると言いました。

そしてその晩、町を空襲が襲います。

 

感想(若干ネタバレ注意)
私の好きな長崎源之助さんの絵本です。私が今まで読んできた長崎源之助さんの作品では登場する子どもたちがイキイキとしていて、私も元気がもらえるような作品が多いのですが、でも今回は私が今まで見てきたものとは違って少し悲しいお話でした。

とは言え、戦争を題材にしていますが、残酷な描写はありませんでした。悲惨な表現もほとんどなく、大半がシンペイちゃんの記憶や、シンペイちゃんと私の交流の描写です。結果的にシンペイちゃんは空襲で亡くなってしまうのですが、その死は終盤にあっさりと知らされるだけです。そういう構成によって、思い出の品『えんぴつびな』を通して『死』とは『戦争』とはどういうものなのかを間接的に感じられるようになっています。

大人になると戦争というものに関連した色んな知識が増え、それがこういう悲しい部分を覆い隠して見えにくくしてしまうこともあるかも知れません。こどもの時期にこういう本に接していることも大事なことなのかもと思いました。

えんぴつびなは大人になった『私』が今でも大切に持っています。今ではもう、その頃の記憶は悲しい出来事としてよりも、思い出として心に残っています。自分に優しくしてくれた男の子に対する恋とまではとても言えないようなほんの淡い気持ちも思い出として一緒に今も持ち続けているようです。

対象年齢は、本には「4・5・6歳児から」と書かれており、ここでも4歳からとしました。決して難しいお話ではありませんので、問題ないかと思います。

長谷川知子さんの絵は、長崎源之助さんのお話にとっても合っていると思いました。子ども達の表情がいいです。どこかで見覚えがあるような絵だと思ったら『教室はまちがうところだ』も長谷川知子さんが描かれていました。

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