りゅうのめのなみだ


文 浜田広介
絵 いわさきちひろ
発行 偕成社
初版 1965/11/
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 35
発行部数 不明(2002年7月で78刷)
オススメ度 B

りゅうのめのなみだ のあらすじ・内容

人々に恐れられ嫌われる龍。巷では親は子に「悪い子は龍に呑まれる」と教え、子どもも恐れるようになります。しかし龍を怖がらない男の子が一人いました。怖がらないどころか嫌われる龍のことをかわいそうだと言い出します。しかし母親は男の子の気持ちを理解しようとしません。

ある日男の子は龍を自分の誕生会に呼ぼうと山を登っていきます。山に着くと大きな声で龍を呼びました。

龍は自分が呼ばれていることに気づきます。しかも子どもの声です。龍は訝しみながらも声の方へ行ってみようと考えます。

りゅうのめの の解説・感想(若干ネタバレ注意)

優しさというものについて考えさせられる本でした。

初めて人間から優しい言葉をかけられた龍は感激して涙を流します。今まで人間があまりに自分の事を忌み嫌うものですから龍の方もそれを恨んで頑なになっていたようなのです。それが男の子と話した事ですっかり考えが変わり世の中のためになろうとある誓いをたてます。とても人間くさい龍です。現実の世界でもこのような事は沢山ありそうですよね。善意が世の中につながっていくというのは素晴らしいことです。

この男の子も周りからの雑音に惑わされずにまっすぐにものを見ているところがいいですね。そしてそういう自分の見方を安易に曲げない勇気も持っているところもいいです。しかし現実的にはこれはなかなか簡単なことではないでしょう。恥ずかしながら大人である私も見習わなければいけないと思った次第です。

複雑で清濁併せ持ったこの世の中を自分はどう生きていくのか、これからこども達は色んな体験をして考え悩みながらその指針を自分なりに少しづつ形作っていくでしょう。この絵本がよい影響を与えればいいなと思います。

この絵本は元々あったこれより少し長い童話を絵本にするために浜田広介さん自身が少し話を詰め、修正を加えているのだそうです。なので無理やり絵本にしたような端折ったような感じがなく、一つの作品としてまとまっています。いわさきちひろさんの絵も美しく、主人公である男の子の清純さがより感じられます。

同じ浜田広介さんの作品『泣いた赤おに』もご紹介しています。浜田広介さんの作品は安易でない本当の優しさを描いたものが多くて好きです。

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