おこだでませんように


文 くすのきしげのり
絵 石井聖岳
発行 小学館
初版 2008/7/
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 A

 

概要
僕はいつも怒られてばかり。家でも学校でも。僕にも言い分があるけど、それを言えばもっと怒られるから黙っている。僕は悪い子なんだろうか?

元気いっぱい小学1年生の男の子は怒られてばかりで悩んでいます。そんな時学校で七夕のお願いを短冊に書くことになります。この子は「おこだで(怒られ)ませんように」と書きますが…

 

 

感想
この本を読んだ時にこどもは何を感じるのでしょうか。大人から見るとある意味わかりやすい本なのですが、こどもがどう受け取るのかを考えると何というかとても微妙な本です。

ウチの4歳の子どもは「怒られるようなことをするのが悪いんじゃん」と言ってました。それは確かにそうなんだけど、そこまで単純でもない。もう少し深く説明して話しあえばよかったかな、と後で思いました。

対象年齢は4歳からとしましたが、それが適切かどうかは子ども一人一人で全然違うだろうと思います。

この男の子は元気が少々ありすぎるのですが、でも決して根が悪い子なのではありません。この子なりの言い分もあるのですが、ただの言い訳と受け取られるだけなのがわかっているので口にすることなく黙っています。考えてみると、このような状況に陥ったこどもが論理的に自力で解決策を見出すことはほぼ不可能でしょうから、悶々とした心持ちを抱えたまま、時には自分を責めてみたりして苦しむのかも。そんな同じような境遇の子どもは、もしかしたらこの本に慰めを見出すかも知れません。自分と同じ気持ちを抱えた主人公に共感するとともに、自分は悪い子ではないのかも知れないという事と、いつか周囲とうまくいくようになる可能性があるという事を発見し、光明を見出すかも知れません。

そこまで深刻な境遇でないとしても、こども特有の苦労として『あるある』という感想を持つ子もいるかも。うまく表現できない不満のようなものをこどもはこどもで持っているのだなと私も感じました。(自分がこどもの頃を既に忘れてしまっているのですね。)

ある子どもは、親が怒ってはいても自分の事を憎いのではないんだと、少し安心するかも知れません。また「自分ならこうするよ、そうすれば怒られないと思うよ」と考える子もいるでしょう。いずれにしても、子どもによって受け取り方はだいぶ違うのじゃないかなと思います。

怒る事を単純に批判している内容ではありません。(もちろん”怒る”と”叱る”の違いはあろうかと思いますが。)大人と子どものすれ違いが問題なのであり、そのしわ寄せはどうしても子どもに行きがちであるという事。子どもの気持ちに気づいてあげる事の大切さと難しさ。そういった事を考えさせられました。

この本を読んで泣いたお母さんが沢山いるらしいですね。お母さんも日々悩みながら子育てしているからでしょう。子どもよりも、むしろ大人が読んだ方がいいのかも知れません。怒られた時の子どもの気持ちを窺い知って、ハッとさせられるかも知れません。この本に登場する大人達も、この男の子の気持ちに最初気づいてあげられませんでしたが、短冊がキッカケとなって理解するのです。

決してじめじめした本ではありませんよ。ハッピーエンドですし、主人公の憎めないキャラクター、絵の雰囲気、それからセリフが関西弁なのがいい味を出しています。(ただ、関西弁が通じない子もいるかも知れませんが。)

この絵本を読んで自分がこどもとうまくコミュニケーションがとれているのか心配になった方はよかったらこちらの記事も読んでみてください。『【大人向け本】子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ

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