はつてんじん(初天神)


文 川端誠
絵 同上
発行 クレヨンハウス
初版 1996/12/
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 24
発行部数 不明
オススメ度 B

はつてんじん のあらすじ・内容

新年、とうちゃんが天神様にお参りに行こうと準備をしていると、息子の金坊が一緒に連れてってくれと言います。わんぱく盛りの金坊は「あれ買って、これ買って」とうるさいからととうちゃんは嫌がるのですが、結局渋々連れて行くことになりました。

天満宮の境内には大勢の人が来ており、屋台も数多く出ています。金坊のおねだりが始まります。綿菓子、カルメ焼き、たこ焼き、お好み焼き、あんず飴、焼きそばとせがまれますが、それは毒だと何とか誤魔化してお参りをします。しかしお参りを済ませたあと、金坊に根負けしたとうちゃんは凧を買ってやることになります。

しかし二人で凧をあげようとしている内にとうちゃんが凧揚げに夢中になってきました。

落語をベースにした、親子の掛け合いが楽しい絵本です。

はつてんじん の解説・感想

笑えるポイントが多い

子どもは大ウケでした。とにかく笑いどころが多く、笑えるポイントが見開きごとに必ず入っています。子どもが喜んでくれるので私も張り切って楽しく読み聞かせました。わかりやすいですし、落語の楽しさをわかってもらうのにも最適な本だと思います。

父と子の掛け合いが最高

渋々ながら金坊を連れて行くとうちゃんですが、賢い金坊に徐々にペースを握られていきます。そして最終的にはどっちが子どもなのやらという状況になり、金坊は「とうちゃんなんか連れてくるんじゃなかった(汗)」となるのです。江戸っ子気質で直情的で子どもっぽいとうちゃんと、口が達者で生意気な金坊のコンビの掛け合いは面白く、ストーリーとしてのオチだけでなく、二人の会話だけでも全編に渡って楽しめます。

落語のように読み聞かせよう

元々落語がベースですから、登場人物に合わせて声色を使い分け(セリフが多いので誰のセリフなのか読者の子どもがわかりやすいようにという理由もあります)、テンポよく読み進めるといいと思います。ただ凧のパーツの名前とかこどもが理解しにくいところがあるのでその点はご注意を。

これもまた仲の良い父子の姿

何だか子どものようなとうちゃん。これってどうなんだろ…という気もしなくはないですが、なんだかんだ言いながらも仲の良い親子のようですし、微笑ましいのです。著者の川端誠さんのあとがきではこんな風に語られています。

本来親子関係はマニュアルやテクニックでなんとかするものではないんでありまして、「初天神」の中にも、理屈や論をふっとばしてしまう豪快な父子関係が語られております。金坊にとって、この一日は実に楽しい思い出深い一日にちがいないのでありまして、それは、おとうさんにとってもそうなんでありましょう。

裏表紙は仲良く手をつないで帰っていく親子の後ろ姿が描かれています。とうちゃんは糸巻きを持って、金坊は凧を持って。やっぱり楽しい日だったみたい。子どもからしたらこんなとうちゃんって、一緒に子どものように遊んでくれてそれはそれで嬉しかったのでしょう。実際のところ大人なんて普段はカッコつけてるけど中身は子どもとそんなに変わりませんから、そういう子どものような大人の一面を見るのもまた読者の子どもにとっては痛快でしょうね。

当の落語も見てみたい

この絵本では子どもにもわかりやすく短くしてありますが、本当の落語でのお話はもうちょっと長いですし、笑いどころも多く、若干大人向けのネタもあります。本当の落語を見てみたくなる方、お子さんもおられるでしょう。youtubeで検索すると見られますよ。

金坊のホクロ

とうちゃん、かあちゃん、それぞれ顔の別の位置にホクロがあります。金坊はその両方の位置のホクロを持っています。なんでもない当たり前のことですが、親子だなと実感させられるんです。ウチの娘も母親と同じ位置にホクロがあるので、それを教えてあげました。なんだか嬉しいような恥ずかしいような顔をしていました。

時代考証はちょっと怪しい気がする

しかし人々が髷を結ってるこの時代にこんな綿菓子やらカルメ焼きやらあったのかな?と疑問に思い、ちょっと調べてみました。そしたら意外と起源が古いんですね。綿菓子と焼きそば以外は実際に食べられていた可能性もあるみたいです。ただ屋台となると設備面で難しいかも知れませんが。

落語絵本を楽しみましょう

この川端誠さんの落語絵本のシリーズは十数冊出ていますが、私のおすすめは本作ともう1つ『じゅげむ』です。いずれもテンポが良くこどもも理解しやすい平易な内容で、我が家でも人気でした。(因みに金坊はどちらにも出てきますよ。)シリーズの中にはちょっと子どもにはオチがわかりにくいというものもありますので、他の作品は一応先に親御さんが購入前に下見してみることをおすすめします。シリーズ中の一番はと言われるとやっぱり本作かな。

この落語絵本シリーズとは違いますが、他にも落語を元にした絵本をご紹介しています。 → 『じごくのそうべえ』 これもテッパンです。相当に笑えます。

お正月休みにでもこの絵本を読んであげて、できるなら凧揚げも一緒に楽しめたりしたらいいですね。初詣に行って縁日をやっていればそれを楽しむのもいいでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。