ともだち


文 谷川俊太郎
絵 和田誠
発行 玉川大学出版部
初版 2002/11/20
対象年齢 6歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 72
発行部数 不明
オススメ度 B

ともだち のあらすじ・内容

友達って何だろう。

色んな角度から友達というものを考察していく絵本です。

物語ではなく、谷川俊太郎さんの詩に絵をつけたものです。

ともだち の解説・感想

ともだちとは何か?を考えていく絵本

楽しんで読むというよりも、何かを考えるキッカケを与えてくれるタイプの絵本です。

見開き2ページに渡って大きなイラストが描かれていて、文章はほんの一行程度の短いもの。全編に渡ってそういう構成になっています。

大きく分けて7つのカテゴリから、友達というものを考察しています。

  • 「ともだちって」友達ってどんな人のことかなという内容
  • 「ともだちなら」友達とはこんな風に付き合いたいという内容
  • 「ひとりでは」自分一人ではできないことも友達と一緒ならできるという内容
  • 「どんなきもちかな」友達の気持ちを考えてあげようという内容
  • 「けんか」ケンカのルールについて
  • 「ともだちはともだち」同じ境遇・環境でなくても友達になれるという内容
  • 「あったことがなくても」世界のまだ見ぬ友達のことを考える

どんな文章が書いてあるかというと、例えば「どんなきもちかな」では…

なかまはずれに されたら どんなきもちかな。

「けんか」では…

なかなおりするには けんかするのと おなじくらいの ゆうきが いる。だけど わるかったと おもったら「ごめんね。」と あやまろう。

こんな言葉が並んでいます。

最後だけは”ともだち”の定義がぐっと広がる

最後の「あったことがなくても」はそれまでとはちょっと違う切り口になります。和田誠さんのイラストではなく、海外の子ども達の写真に変わります。車椅子の子ども、豊かな暮らしをしている子どもと困窮した生活をしている子ども、義手を付けた子どもなどです。いきなり、ともだちという言葉の定義がぐっと広がります。『あったこともない子ども』=『まだ会えていないというだけのともだち』なんだろうと思います。体に不自由を抱えた子ども達に自分は何ができるのか、貧富の差を越えて友情を結ぶにはどうすればいいのか、問いかけます。そして最後はこの文章で閉じられます。

だれだって ひとりぼっちでは いきてゆけない。

ともだちってすばらしい。

子どもが人間関係を考える手助けをしてくれる

ウチは一人っ子なので特に友達を大切にしてほしいと思っています。お互いを思いやれて、ずっと仲良くしていける友達を作って欲しいです。人間関係というのは基本的に実際の経験で覚えていくものなのでしょうが、この本はその実際の経験の中で悩み考える子どもをサポートしてくれる、そしてともだちのありがたさを再確認させてくれるものだと思います。ウチの子が読んだら(現時点でまだ見せてないのですが)、多分ハッと気づくこともいくつかあるんじゃないかな。一つ一つがとてもシンプルな文ですけど、シンプルだからこそ考えてしまう、感じられるものがあります。

大人が読んでも、温かい気持ちになったり、忘れている大事なことを思い出させてくれたり、あるいは深く反省させられたりすると思いますよ。

一部にちょっと気になる記述も

ただちょっと、待てよ!?という部分がいくつか見られます。大人からしたら言いたいことはすごくよくわかるんだけど、子どもがここに書かれたことを盲信してしまったらまずいケースもあるのでは?と思われる部分です。例えばこの文章。

おかあさんや おとうさんや せんせいに いいつけるのは ずるいんじゃないかな。

これはケースバイケースでしょう。もちろん言いたいことはわかるんですよ。でもいじめられて誰にも言えずに命を落としてしまう子どもさえいる現代で、これを言葉通りに受け取ってしまうのは非常に危険です。この前のページでいじめ行為を否定していますし、いじめとは無関係な状況を前提に書かれている文章だと思いますが、読者の子どもすべてがそういう背景を考えた上で理解するとも思えません。簡潔な表現方法の負の側面が表れた文章だと思います。読み聞かせするなら子どもによっては若干の補足が必要だと感じます。でも誤解がないように補足しておきますが、この絵本はいじめを助長するような内容ではもちろんありませんし、むしろこの絵本に書いてある事をよく感じよく考えた子どもがいじめをするとは思えないです。この絵本の価値を否定するつもりはまったくありません。

ひらがながわかれば一人でも読めます

6歳からとしましたが、こどもによっては5歳でもいいと思います。年長さん位を想定しました。すべてひらがなで書いてありますので、ひらがながわかれば一人で読むこともできます。この絵本は読み聞かせよりも一人で読んだ方がいい気もします。

ご参考まで、作者の谷川俊太郎さんに本作に関してインタビューしている記事がありました。なかなか面白かったです。

「ともだちって かぜがうつっても へいきだっていってくれるひと」
『ともだち』 谷川俊太郎さんインタビュー

他にも谷川俊太郎さんの手掛けた絵本をご紹介しています。 → 『谷川俊太郎

和田誠さんの絵本も他にご紹介していますよ。 → 『和田誠

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