安寿姫と厨子王丸


文 千葉幹夫
絵 須藤重
発行 講談社
初版 2002/3/20
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数48
発行部数 不明
オススメ度 A

概要
無実の罪で遠方に追いやられた身分の高い侍の父に会うため、母と旅する幼い姉弟安寿と厨子王。

途中悪者に騙され、母と離れ離れになったあげく、人買いを通じて山椒大夫の元へ売られます。

数奇な運命に翻弄される二人は、父と母に再び巡り合えるのでしょうか。

 

感想
森鴎外の作品『山椒大夫』でも有名なお話です。

正直、こんな話を小さいこどもが喜ぶのかと半信半疑でしたが、こども自身がひょんな事から読みたいというので、まずは図書館から借りてきました。いや~意外にも本気になって話をのめり込んでましたね。何度も「読んでくれ」と言います。

母の愛情、人の情け、心からの祈り、悪い人間の存在、しっかりした大人の態度、波瀾万丈のストーリーと、どれをとっても今まで読んだこども向けの絵本とは一味違います。いい意味でこどもに媚びてない本です。だから理解が難しいところもあるかも知れませんが、そこはお父さんお母さんがうまくフォローしてあげてください。

この本は、昔の『講談社の絵本』シリーズの復刻版です。私は馴染みがなかったような気がします(私のこどもの頃にはもうなかったのかも)が、このシリーズは妥協のない高品質の絵本として、昔一種のブランドとして支持されていたそうですね。そういう背景を知ると、硬派な内容も納得できる気がしました。巻頭に漫画家の里中満智子さんがコメントを書かれていますが、講談社の絵本なら見てもいいと親や教師から言われたのだそうで、当時は絶大な信頼を得ていたのですね。

表紙の絵を見ると若干漫画風に見えますが、中身の絵は全然印象が違います。本職の日本画家が書いており、非常に緻密で美しいです。人物も悪人は怖そうな赤ら顔の悪人面だし、和尚さんは一本筋の通った厳しい大人の顔をしているし、こういう人物描写はなかなか他の絵本では見られないでしょうから、こどももかぶりついて見ちゃうのかも知れません。

講談社の絵本シリーズは他にも『鉢かつぎ姫』をご紹介しています。こちらも苦難の物語です。

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